堤防や磯やサーフなど、様々な場所がフィールドになるエギング。使用するロッドはエギのサイズや足場の高さなど物理的な条件で選ぶのが基本だが、キャッチ率を上げるためには、それ以外の方法で選び分ける術もある。今回、オリムピックのスタッフと訪れた異なるフィールドでの実釣を通し、同社の新モデルを例にその使い分け術を紹介したい。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版編集部・五井)
長さとパワー以外の選択基準
最も基本的な選択基準は、エギの重量や足場の高さにロッドを合わせることだが、より踏み込むと以下のような基準でロッドを選ぶことになる。
・狙うイカの性質、または自分が得意とする誘い方に合ったブランクス特性のロッドを選ぶ
・「取り回しや誘いの軽快さ」か「飛距離やファイトの優位性」のいずれを優先するかで選ぶ
・ロッドを海中アンテナと考え、手感度を重視してチューブラーティップを選ぶ
・乗りの良さ、穂先の変化の可視化を求めるならソリッドティップを選ぶ
机上の話ではこのようになるが、漠然としていてわかりにくい部分もある。そこで、ここから実釣シーンでの事例を通して書いていきたい。
磯での秋イカ狙い
まずは、湾内の比較的足場の低い磯から秋イカを狙ったときの事例から。釣行したのは9月半ばで、アングラーはオリムピックスタッフの前神さん。フィールドは三重県尾鷲市の磯で、尾鷲港の大ちゃん渡船を利用して渡礁した。
午前中はロックフィッシュを狙い、昼から湾内の磯に移動してアオリイカを狙った。渡った磯はあまり高さがなく一見釣りやすいが、場所によっては岩壁がせり出しており、磯際の低い位置まで降りる必要があった。
尾鷲湾の磯で秋イカを狙った(提供:週刊つりニュース中部版編集部・五井)ショートロッドの操作性
こうした条件で前神さんが選んだロッドが、カラマレッティー・プロトタイプ24GCALPS-792ML/M。高弾性のブランクスがショートレングスと相まってキビキビしたテクニカルな操作をこなせるモデル。スペックはエギ2~3.5号、メインラインはPE0.4~1号に適合する。
カラマレッティー・プロトタイプ792ML/M(提供:週刊つりニュース中部版編集部・五井)潮は足元の岩場を囲むようにして沖へと流れており、前神さんはこの潮にエギを乗せ、ドリフト気味に探っていく。エギのサイズは3号だ。
好奇心の強い新子の秋イカは、アクティブなエギの動きに好反応を示す。このため、短く軽快なロッドで積極的に誘っていくことが有効だ。
秋の新子にはアクティブな誘いが効く(提供:週刊つりニュース中部版編集部・五井)足場に応じた長さ選び
磯の上を少しずつ移動しながら探っていくが、かなり足場の低い場所もある。エギングでは、シャクった後にロッドを斜め下に向け、アタリを待つのが基本。こうすることで手首にかかる荷重を減らし、手感度を高め、疲労も軽減できる。
足場に対してロッドが長すぎると、ティップが水面に突っ込まないよう水平気味に構えなければならず、理想的な持ち方ができない。こうした場所では、ショートレングスのロッドで対応する方が得策だ。
穂先が海面に付かない長さを選択(提供:週刊つりニュース中部版編集部・五井)ドリフト釣法で本命キャッチ
前神さんが釣りを続けていると、沖へと払い出す潮目に沿ったラインでヒット。キャッチしたのはこの時期の平均的なサイズ200g級のアオリイカ。792ML/Mはこのサイズに対して少しオーバーパワーだが、小型のアタリを弾かず、イカが触ったのをよく感じ取れたとのことだった。
この時期の平均サイズをキャッチ(提供:週刊つりニュース中部版編集部・五井)このあとも、前神さんは側面にある磯の際や、30mほど離れた場所にある岩の手前の藻場をピンポイントキャストで探っていく。ストラクチャー際をタイトに攻める機会が多いなら、キャストの精度が高いショートレングスのロッドが好適だ。
一方で、短いロッドだと飛距離に不満が残るが、792ML/Mの高弾性ブランクスは、その短さを感じさせないほど十分な飛距離を生み出していた。
7ft9inながら飛距離も十分(提供:週刊つりニュース中部版編集部・五井)なお、ショートロッドが活かせるケースとしてほかに言えるのが、背後に岩や壁がある場所で釣りをする場合。ラン&ガンをしているとこうした場所に出くわすことがある。ロングロッドでは目いっぱい振りかぶれずキャストがしにくいが、ショートロッドならこうした状況にも対応しやすい。

