堤防や磯やサーフなど、様々な場所がフィールドになるエギング。使用するロッドはエギのサイズや足場の高さなど物理的な条件で選ぶのが基本だが、キャッチ率を上げるためには、それ以外の方法で選び分ける術もある。今回、オリムピックのスタッフと訪れた異なるフィールドでの実釣を通し、同社の新モデルを例にその使い分け術を紹介したい。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版編集部・五井)
堤防でナイトエギングゲーム
すでに秋も深まった10月、前神さんと兵庫県淡路市にある一文字渡船「シーパンサー」で志筑の沖一文字に渡り、ナイトゲームで回遊個体を狙った。
シーパンサーで志筑一文字へ(提供:週刊つりニュース中部版編集部・五井)チューブラー穂先を選択
足場は高いものの、地形はシンプルで遠投の必要性も低い。ナイトでは視覚に頼りにくいぶん、感覚で潮の流れや着底、イカのタッチを捉えていく必要がある。ゆえに、手感度を重視し、ショートレングス&チューブラー穂先の792ML/Mをメインで使用した。
足下で400gアオリがヒット
潮止まりを経て、右から左へと潮が動き出したのをキャッチした前神さんは、緩いドリフトフォールで探っていく。エギが足下付近まできたところでヒット。ロッドが派手に曲がり込む。キャッチされたのは400gを軽く超える良型。
400gアップをキャッチ(提供:週刊つりニュース中部版編集部・五井)ヒットしたときのイカの姿勢の関係か、まるで魚のように真下に向かって一気に引き込んだ。とはいえ、このロッドのバットパワーにはまだまだ余裕があった。この様子なら春の親イカ狙いも十分対応できそうだ。
792ML/Mに300gの負荷を掛けた状態(提供:週刊つりニュース中部版編集部・五井)
792ML/Mに500gの負荷を掛けた状態(提供:週刊つりニュース中部版編集部・五井)792ML/Mはランガン向き
なお、前回の磯、今回の堤防ともに基本的に限られた範囲での釣りとなったが、792ML/Mは、取り回しの良さとキビキビとした操作性から、テンポよく釣っていくラン&ガンスタイルにマッチする。
不利な地形での大型狙い
最後は、今年の5月に前神さんと沖磯で春の親イカを狙ったときのケース。場所は三重県志摩市御座の沖磯。このとき渡った磯は足下から10mほど先まで、藻場やハエ根が広がっていた。
手前に藻場や岩があるラフな場所へ(提供:週刊つりニュース中部版編集部・五井)加えて、沖に見える潮目を狙う必要もあり、飛距離と取り込み時のリーチを稼ぐ必要から、ロッドはカラマレッティー・プロトタイプの25GCALPS-832M-HS+を使用。
エギ2~3.5号、PE0.4~1号のラインに適合し、長さ・パワーともバーサタイルに使えるモデルだが、最大の特徴は一般的なソリッドティップよりも張りのあるハードソリッドティッププラスを採用していること。
832M-HS+(提供:週刊つりニュース中部版編集部・五井)ハードソリッドの強み
このティップは、ソリッド特有の柔軟性を持ちつつも適度な張りがあるため扱いやすく、ベリーへの負荷の分散もスムーズ。言うなれば、ソリッドの弱点を克服しており、ビュッと投げられてバシバシシャクれる。
ハードソリッドティップ+を採用(提供:週刊つりニュース中部版編集部・五井)前神さんは3.5号のエギをフルキャスト。沖へと払い出している潮に絡め、ボトムから1m以内をドリフトでじっくり誘っていった。
ドリフト釣法では、ラインに張力が生じ、潮の抵抗を穂先のもたれ感で確認しながらアタリを嗅ぎ分ける釣りになる。ソリッドティップはこの微妙な変化を捉えやすい。
加えて、春の親イカや秋後半の良型狙いでは、エギに対する警戒心を備えた個体との勝負になり、1回触れただけでエギを見切ってしまうこともしばしば。こういったときも、イカに違和感を与えないソリッドティップが強い味方になる。
1.7kg級の良型アオリを手中
そして、親イカが好む静かな誘いと長いステイ(フォール)で誘っていくと、潮目と藻場の中間でヒット。強烈なジェット噴射がロッドを襲い、勢いよくラインが出ていく。
832M-HS+で2kg級とファイト(提供:週刊つりニュース中部版編集部・五井)前神さんは、ベリーからバットにかけての張りと復元力を活かして相手のパワーをどんどん削ぎ、海藻地帯よりも沖で浮かせることに成功。長さとバットパワーを活かして藻場を超えさせ、1.7kgオーバーの見事な雄イカをキャッチした。
1.7kgオーバーをキャッチ(提供:週刊つりニュース中部版編集部・五井)ちなみに、このとき使用した832M-HS+を含め、カラマレッティー・プロトタイプは、全カラマレッティーシリーズの中で最軽量。手感度の良さはもちろん、長い時間ロッドを振り続ける回遊待ちのスタイルにもピッタリなモデルだ。
なお、このロッドによる春の親イカ攻略の様子が動画でも公開されている。
その他のモデル
今回紹介した2モデル以外にも、カラマレッティー・プロトタイプには、パワー面・レングスともに中間的なモデルで、スラックジャークやショートジャークもこなしやすいテーパー特性を備えた832ML。地磯からの大型狙いなど飛距離とパワーが求められる状況で活躍する862M。
張りと適度なしなやかさを備え、足場の高い堤防や磯、サーフからのゲームもこなすロングレングスの892L/MLがある。
磯の大型狙いではパワーに余裕を(提供:週刊つりニュース中部版編集部・五井)課題に合わせた選択を
エギングロッドは、自身の釣り方を優先するか、環境条件に対する使いやすさを優先するかが選択の基準になると思うが、やり取り上のハードルが低い秋イカ狙いならゲーム性重視で、掛けた以上は獲ることを優先したい春イカ狙いではファイト重視で、そういった観点でロッドを選ぶのがお勧めではないだろうか。
<五井貴矢/週刊つりニュース中部版編集部>

