冬場は極端に釣り物少なくなる季節だが、それでも狙えるターゲットがイカだ!中でも複数種類が同時に釣れるポイントは少ないと言われる。今回はイカメタルスッテで3種類のイカが狙えるポイントへ釣行してみた。
尾鷲湾口でメタルスッテ
近年人気沸騰中の「メタルスッテ」。ナマリやタングステンのスッテを使い、各地でさまざまなイカを狙うことができるが、もしこの釣り方で、ヤリイカ、アカイカ、スルメイカが同時に狙えるポイントがあるとしたら…。
実は、例年12月~3月中旬の三重県の尾鷲湾口がそのポイントなのだ。
特に注目すべきはヤリイカ!尾鷲湾口の水深は30~40mとなっており、このぐらいの浅い水深でヤリイカ狙いが長期的に楽しめる釣り場は、なかなか珍しい。
そこで1月18日三重県引本浦のエヌテックマリンの半夜便に乗せてもらい、取材を行った。
仕掛けは人それぞれ
当日の乗船者は、フィッシングポイントでおなじみ萩原さん、四日市でチャーターボートや乗合船を営む栗田さん、その他6人の釣り客といった具合。
最近イカメタルに大ハマり中という萩原さん。タックルボックスを見せてもらうと、多種多様なスッテやエギがズラズラッ。スッテは重さ10~15号を用意しており、そのカラーは基本の赤緑、赤白、赤黄色の他、グローが入ったものなど様々。素材も鉛、タングステンそれぞれ用意しており、さらに通常とは形状が違うものまで。
萩原さんはカラーのローテーションを頻繁にするらしく、その時々によって当たりスッテはかわるとのこと。また、ヤリイカを狙う時は、掛かりのいいカンナが細いものを使用している。
イカ釣りはタナが命
出船は午後4時30分。気温は暖かいが、風がやや強く吹いている状況。
30~40分で尾鷲湾口に着き、船長がアンカリングをしてサオ出しの準備は完了。が、まだ明るい時間帯なので、皆さんのんびりと日が沈むまで待っていた。
日が暮れると、ぼちぼちスッテを投入。このイカ3種釣りは、ヤリイカは底付近(底から5~7m)、アカイカが中層、スルメイカが中~上層と、各層に狙い物が分かれている。
底取りからイカがいる層を探りながら仕掛けを上げてくるのが基本となるが、他の人が釣れた場合、すぐに釣れたタナを船中で情報共有して、そこを攻めるのが効率的だ。
なので、カウンター付のリールは必須。
また、エヌテックマリンではタナの情報共有の他、魚探でイカのいる位置をしっかり教えてくれるので安心だ。
先述したように、スルメイカのタナは中~上層が基本だが、その時の状況によってかわることがあるらしい。
スルメイカにアカイカ!
タナの情報を証明するかのように、常連客の沼田さんが底付近、水深30mでスルメイカをゲット!これが船中初釣果となった。尾鷲湾口で釣れるスルメイカは胴長30~40cmほどで、アタリの大きさと引きの強さは抜群だ。
さらに同じぐらいのタナでアカイカが上がり、船中いっせいに30m付近を狙い始める。
すると萩原さんにもスルメイカがヒット!タングステンの赤白を前方にキャスティングし、カーブフォールさせている時にアタリが出たとのこと。
その後も30m付近でアカイカがポツポツと登場。
残り1種ヤリイカに苦戦
中井船長もちょこっとサオ出しして、アッという間に胴長20cmほどの良型アカイカを手に。
そして栗田さんもスルメイカを釣り上げた。が、どうにも渋い…。なにせヤリイカがヒットしていないのだ。
船長が水温を確認すると、17.6度とかなり高い。ヤリイカは15度台にならないと乗りが本格化しないと言う。潮も速く、苦戦を強いられる。
萩原さんがパープルのスッテでアカイカを連続キャッチするが、ヤリイカの姿はない。
アタリも全体的に渋く、「イカが3種類釣れないと、取材が成立しない…」と、そろそろ焦りが出てくる。
9時になり、納竿まで2時間を切ったが、まだヤリイカはお目見えしない。
船長は乗船前にこんなことを言っていた。「潮が速いとイカは流されて、しっかり乗ってこない」。そして今、この渋い状況に対しても「潮止まりのタイミングがくるから、その時がチャンスかも…」と。