福島・南会津と栃木・塩原温泉をめぐる2泊3日の渓流釣行。雪代の本流、通行止めの林道、大物との格闘。春先の不安定な自然と向き合いながらも、出会いと釣果に恵まれた旅の記録をレポートします。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・中山祐司)
箒川で釣行開始
朝8時、昨日彼が入っていたポイントに行くと、すでに別の釣り人がいました。挨拶に近づくと上流へ立ち去ってしまったため、釣果は確認できませんでしたが、竿を出すことにしました。
川幅はありますが、分流を狙うには5.3mの竿で十分。中硬調の竿に、天上糸1m、道糸0.6号の通し仕掛け、針はがまかつ渓流5号を使用。
川虫針は切らしていたため軸太ですが、サイズは合わせてみました。昨日の釣り人は袖針5号で、川虫を踊らせるように餌付けしていました。
箒川で釣り開始(提供:TSURINEWSライター・中山祐司)箒川アクセス
・電車:東北新幹線「那須塩原駅」下車 → タクシー等で移動
・車:東北自動車道「西那須野塩原IC」より R400 を塩原温泉方面へ
※詳細は塩原漁業協同組合HPを参照
箒川タックル(提供:TSURINEWSライター・中山祐司)25cmヤマメをゲット
歩道から川虫で1投目。分流の葦の脇を流すと、3度目の流しでマーカーが動き、25cmのヤマメがヒット。
足元に抜き上げると放流魚で常設釣り場のような感もありますが、会津では貧果だったため、ありがたくキープ。その後も立て続けに2匹のヤマメが釣れ、昨日の釣り人に感謝です。
ブドウ虫に23cmの頂鱒
アタリが止まり、少し下流の落ち込みをブドウ虫で流すと、小気味良い引き。釣れたのは虹鱒。箒川の虹鱒は身がオレンジ色で「頂鱒」と呼ばれており、エラもピンクで美しい魚体でした。
渓相は穏やかですが水量はあり、ウェーダーも濡らさずに岸釣りが続きます。
箒川で大物ヒット
落ち込みで軽く合わせた竿に、大きな手応え。大物です。足場はよいのですが水面まで2mほどあり、取り込み場所もありません。スロープを使って下流に回り込もうとしますが、魚は上流の葦の際へ逃げ込もうとします。
ハリスが切れるか、針が伸びるかと心配になりますが、針は軸太、ハリスはナイロン0.6号の通し。中硬の竿は満月のようにしなり、柔らかな竿が仕掛けを守ってくれます。
ただしパワーが足りず魚が浮きません。まるでヘラ釣り中に鯉が掛かったような状況です。
現れた燻銀の魚体
魚をあやしながら下流に誘導すると、一瞬浮いた魚体は40cm超の鱒。燻銀に輝く立派な魚です。
流心へ逃げる魚に竿を立てて耐えますが、なかなか止まりません。この時、私は気づかぬうちに入水しており、50cmほどの水深にベストが浸かっていました。夢中になり、友釣りをしているような錯覚すら覚えました。
大物を仕留めることは叶わず
魚の下流でランディングを狙おうと竿を回しましたが、魚は私の動きを見て、流れに乗り堰へと突進。竿とラインが一直線になった瞬間、なす術はありませんでした。
約10分間のドラマでした。天上糸の下、0.6号のラインと目印を残して、魚は堰の下流へ消えていきました。小さな針はそう簡単には外れないはずです。もし、この魚に出会った方がいたら、優しくリリースしてあげてください。
放心状態で竿がやけに軽く感じます。その後、20cmほどのヤマメとウグイを追加したところで、小雨が降り出したため納竿としました。
福島・栃木釣行の振り返り
桜も咲き、東京の暖かさに心が躍り、南会津へ岩魚釣りに向かいましたが、結果としては惨敗に終わりました。湯ノ花温泉周辺の桜の開花時期は、札幌と同じくらいだそうです。
小沢の杣道もまだ雪が深く、なにより林道の通行止めは久々の“アウト”でした。今年は雪が多いとは聞いていましたが、やや侮ってしまった感があります。
下処理したヤマメ(提供:TSURINEWSライター・中山祐司)本流は長竿が必要
雪代が出ている本流では、長竿がないと釣りにならないことも実感しました。ルアー釣りは、私の腕では通用しないほどの難しさでしたが、それでも型を見ることができたのは幸運だったと思います。
数カ所を巡った支流は、あと1カ月もすれば竿を出せる状態になっているでしょう。箒川では、前日の現地調査が功を奏し、釣り人との出会いが釣果に直結しました。
川虫1匹掛けの小さな針に食らいついた大物は、私にとって忘れられない釣りのハプニングであり、大切な思い出となりました。
また、初めて釣った「頂鱒」もとても美味で、釣り談義のページがまた一つ増えたようです。
<中山祐司/TSURINEWSライター>
箒川


