春のアジの捕食パターンに、「バチ抜け」があるのは有名な話だ。主にはシーバスの春パターンで有名なベイトだが、アジもメバルもチヌもこいつらをすべて食う。だがアジングで春アジを狙うなら、あまりバチのマッチ・ザ・ベイトにこだわらないほうがいい。通常のアジングの方法でやったほうが確かだ。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター井上海生)
アジにもあるバチ抜けパターン
イソメ大好き、魚はみんな。私も最近エビを食べて思うのだが、こんなにうまいもの、魚が嫌いなわけないよな、なんて。まあそれを言えばイソメの味なんて全然わからないのだが、男も女もすなる餌釣りでイソメが大体第一選択肢となるのだから、多毛類共が魚に好かれないわけはないのだろう。はるか30年前に私が父に教えてもらったのも、イソメを使った足元の探り釣りだった。

アジも同様、どうもバチ(多毛類)を好んで食うらしい。春アジングのリバーポイントで、アタリがなくなってきた最終盤に、ボトムを取って長めのストレートワームをダートしてやったときなど、狂ったように食ってきたりもする。あれなどは明らかなバチ抜けパターンなのだろう。しかし。
バチ抜けの釣り方は?
アジがバチ抜けについているからといって、どうも、寂しいかな筆者の感覚では、「バチ抜け意識のアジに合わせる方法ってあるか?」と思ってしまうのだ。それこそ2.5inchとかそれくらいの長いワームをその場のバチのサイズに合わせてカットしながら使う手もある。だがこれをふわふわ巻いているか漂わせているかしていても、はかばかしい反応はない。

それよりはいっそ巻きパターンを意識して紫のような変わった色のワームでぶりぶり釣っていると食ってくるのだから、バチパターンはちょっと謎である。どちらかといえばフォールよりは水平方向の動きを見ているのだろう。それはわかるが、水平方向の動きを見ているのはメバルもチヌもシーバスも同じ。アジングタックルでアジだけを釣り分けるには、何か違う気がする。
バチ絡みはリバーアジングがおすすめ
しかし、どうもバチを意識しているらしいアジの群れを特定することはできる。それは、リバーポイントに入ることだ。汽水域でも、よほど真水濃度が高そうでもアジは結構どこでも食ってきたりする。それこそシーバスがいそうな常夜灯周りでバチが大爆発しているなら、その周辺にアジも潜むかもしれない。
河川のほうがバチの恩恵が高いのは間違いのない事実で、塩分濃度が高い真水のフレッシュな海ではそもそもバチ抜けが発生しづらい。春のアジングはいつもとは場所を離れて、川側へ遡上してみよう。
基本はプランクトンパターン
結局何が言いたいかというと、私など、バカの一つ覚えで「アジングはすべてプランクトンパターン」と決め込んでいる。その意識でやって、外したことがない。バチ抜けの時期も同様、バチを意識していそうな群れをリバーポイントに発見しても、釣り方はフォールである。これを下手に水平方向の動きにするとボラなんかが来たりする。おなじみ、軽量ヘッドをエステルラインでメンディングしながら、カウントダウンして釣る。マヅメは重め、夜になるにつれて軽めで。ある程度うようよとアジがいるならプランクトンパターンの群れが確実にいて、そいつらを反応させるほうが簡単なはずだ。

実際、釣ったそのおなかをさばいてみると、「おい小魚食っとるんか」ということもある。メバルでもアジでもある。光合成した植物性プランクトンを食べるためにバチは動きだすのだが、それは小魚も同様である。小魚とバチのどちらがうまそうか、やっぱり小魚かな。でも簡単にとらえられるならバチでいっか、みたいな感じで動くのだろうか。ともあれ釣っておなかをさばいてみるまでパターンはわからない。
<井上海生/TSURINEWSライター>