寒い時期にカヤックフィッシングに行く際、誰もが頭を悩ませるのがウェア類の防寒対策。今回は、足漕ぎカヤック『ホビー・アウトバック』に乗る筆者のコーディネートを紹介します。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・福永正博)
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アウターはドライorウェット?
寒い時期に海に入るというと、サーフィンなどで着用するウエットスーツを真っ先にイメージする方が多いかもしれません。
しかし、ウエットスーツは水に浸かっている間は暖かいですが、外気にさらされると寒いという特徴があります。そのため、出艇と着岸時以外ほぼすべての時間を水の上ですごすカヤックフィッシングにはドライスーツをおすすめします。
ドライかウエットかの悩みが解消したとしても、その次に迷うのが上下一体型のフルドライスーツか上下分割型のセパレートタイプかという点です。それぞれの特徴を見てみましょう。
フルドライスーツ
カヤックフィッシングで常に想定しておくべき転覆に対して、もっとも安心できるのが上下一体型のフルドライスーツ。いわゆるツナギのような形です。
透湿防水素材であることに加えて、首もとや手首にピッタリと密着するラテックスゴム製の素材を採用しているので、落水してもウェア内への浸水がほとんどなく、身体が濡れないからです。
ただし、万全に思えるフルドライスーツにもデメリットはあります。それは、簡単に脱ぎ着できないため体温調整が難しいことや、高価格帯の商品であること。
ハードな使用条件に対応できる機能をもつ反面、多くのカヤックアングラーにとって少々ハードルが高いアイテムといえるでしょう。
セパレート型のドライスーツ
フルドライスーツと並ぶ、もう一つのスタイルが上下セパレート型のドライスーツ。上半身側は、ドライトップやパドリングジャケットなどと呼ばれ、フルドライスーツと同様に首もとや手首からの浸水を防ぐ設計のモデルが多いです。
下半身(ズボン)側は、ドライパンツやパドリングパンツなどと呼ばれます。ウエスト部のフィット感の高さと、ベルトを絞りこむことで落水後の浸水をある程度防ぐ構造が特徴。この点が、一般的な釣り用ウェーダーやレインウェアとのちがいです。
セパレート型は、フルドライスーツと相反するメリット・デメリットをもっています。フルドライスーツより落水時に浸水する割合が高めな点はデメリット、気温や運動量に応じて体温調整をしやすいことは大きなメリットといえるでしょう。
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筆者はチェストハイタイプを選択
筆者のチョイスは、ズボン型より丈が長めのチェストハイタイプのドライパンツに、上着は防風・撥水・保温性能があるアウトドア用ジャケットを着用。寒ければジャケットの下に薄手のダウンベストを追加します。
足漕ぎのホビーカヤックということもあり、手漕ぎカヤックのアングラーよりも、小型ボートの釣り人などに近い比較的軽装なコーディネートといえますね。とはいえ、アンダーウェア・ベスト・ジャケットに機能性の高いウェアを選んでいるので、暖かさはしっかり確保できています。
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チャック付きを強く推奨!
ここで1つ重要なことをお伝えします。それは、「多少高くてもチャック付きを買う!」ということ。寒い時期はどうしてもトイレが近くなるので、チャックの有無で快適さに雲泥の差が生まれます。
とくに、筆者のような長時間釣行派には必須の装備です。同じメーカーのモデルでも、チャックが付くと1〜2万円ほど値段が高くなってしまう傾向がありますが、そこはケチらずにいきましょう。
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身体の先端は寒さを感じやすい
気温が低い時、とくにツラさを感じるのが手足の指先など身体の先端部分。秋冬のカヤックフィッシングでも、手足の防寒はキモといえます。しっかり対策しないと、手足の感覚が無くなって釣りどころではありませんからね。
防水ブーツはクロロプレン製を
多くのドライパンツの足もとは、本体とソックス部分が一体になっており、ブーツは別に用意する必要があります。
カヤックを出艇する際は、どうしても膝下くらいまでは水に浸かってしまうもの。そのため、水が浸みてこない防水性のあるブーツが快適です。
ドライパンツのソックス部分が防水であるとはいえ、ブーツに水が浸み込んでいると気化熱によってとても冷たく感じてしまいますからね。
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クロロプレン製ブーツがおすすめ
足漕ぎカヤックを使用するアングラーにおすすめなのは、柔らかくて防水性と保温性があるクロロプレン素材のブーツ。カヤック用やマリンアクティビティ用などが売られていますが、柔軟性があってペダルを漕ぐのを邪魔しないので足漕ぎカヤックに向いています。
ちなみに、クロロプレンと並んでよく耳にするネオプレン。実は、クロロプレンとネオプレンは同一素材で、ネオプレンはアメリカのデュポン社の商品名とのことですよ。
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DRESSクロロプレンブーツ
筆者が最近手に入れて気に入った製品が、DRESSの新製品「クロロプレンブーツ」。膝下まである丈の長さと防水性の高さ、そして29cmまでのサイズ展開がお気に入りポイント。
カヤック用のブーツはシーズン前に欲しいサイズが売り切れてしまったり、マリン用ブーツはもともと大きめのサイズがラインナップされていなかったりします。
その点、大手釣具メーカーさんが販売してくれると、入手がしやすいので安心感がありますね。もともとカヤックフィッシング専用品ではありませんが、実際に使用してみたところ浸水もなく快適で、寒い時期のカヤックフィッシングにピッタリだと感じています。
ブーツを選ぶ際に一つだけ注意したいのは、1〜2サイズ大きいものを選ぶこと。なぜなら、ブーツが小さいとドライパンツのソックス部分と厚手のソックスが重なる足もとが窮屈になって不快だからです。普段26.5〜27cmのクツを履く筆者の場合、28〜29cmのブーツでちょうどいい感じです。
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ソックスにもこだわる
寒い時期のカヤックフィッシングに向いているおすすめのソックスはメリノウール製のもの。「メリノウール」とは、メリノ種のヒツジの毛のことで、履いて暖かいだけでなく蒸れにくく、足のニオイをおさえる抗菌作用もある優れた天然素材です。
筆者は、リトルプレゼンツ製のメリノウールソックスを愛用していますが、最近ではいろいろなメーカーからも発売されているのでチェックしてみましょう。カヤックフィッシングだけでなく、秋冬のおかっぱりの釣りでも使えるので、1足もっておいて損はありませんよ。
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グローブもクロロプレン製を
足もとと同様に、グローブも保温性に優れるクロロプレン製がおすすめです。さらに、クロロプレン素材にチタン合金をプラスして性能アップした、タイタニューム製グローブならば寒い日のカヤックフィッシングでもバッチリです。
筆者の場合、ラインの結びやすさとベイトタックルでのサミングのしやすさを重視して、3本指タイプのクロロプレングローブを使用しています。暖かさ最優先ならば5本指、操作性最優先ならばフィンガーレスという具合に、各人の好みやスタイルに合わせて選んでみましょう。