なんだか華やかな名前のブランド魚「サバ・ヌーヴォー」。一体何者なのでしょうか?
(アイキャッチ画像提供:茸本朗)
サカナ界のヌーヴォー「サバ・ヌーヴォー」
フランスの「新酒まつり」であるボジョレー・ヌーヴォーが日本に定着してもう10年以上経ちますが、実は魚の世界にも「ヌーヴォー」があることをご存知でしょうか。
それは「サバ・ヌーヴォー」。ボジョレー・ヌーヴォーにちなんで名付けられたこのブランドは、ボジョレー・ヌーヴォー同様に飛行機で運ばれて輸入されます。
原産地はノルウェーで、毎年秋、サバの旬の時期になると第1便が発送されます。今年は9月20日に初荷が到着したそうです。
普通のサバとどう違う?
このサバ・ヌーヴォー。特別な名前がつけられていることからも分かる通り、かなり特別なサバです。
我が国でも以前より「ノルウェー産のサバ」が食べられてきていますが、同国で水揚げされるサバ(タイセイヨウサバ)は我が国と違って資源管理がうまくいっており、非常に脂の乗った高品質なものが多くなっています。そのようなサバの中でも、脂肪率約30%、重量500g以上という最高に脂の乗ったものだけがヌーヴォーを名乗れるそうです。
鮮度落ちの早いサバを、地球の裏側から新鮮な状態で輸送するため飛行機が利用されています。驚くことに一度も冷凍されない状態で日本に到着するのだといいます。
実際に食べてみた
サバ・ヌーヴォーは今年より、超高速凍結技術を用いて殺虫処理を施し、生食可能なものも販売を開始しています。それを用いた「サバ・ヌーヴォー寿司」を近所のスーパーで見かけたので、実際に食べてみました。
パックを開けると目を引くのは、あまりにも白いその身。サバが青魚であることを忘れるほどに白濁しており、ひと目で脂のりの良さがわかります。醤油も弾いてしまうので多めにかけ、わさびをたっぷりと乗せて食べてみました。
食感はふわふわとしていますが弾力もあり、冷凍でヘタっているような感じは全くありません。噛み締めた瞬間、口中に甘い脂が広がる幸せはまさに大トロ。それでいて青魚の旨味もしっかりと感じられる唯一無二の味わいでした。
まだ知名度が低く、また「生のサバの寿司はちょっと……」と敬遠する向きもあったのか売れ残っている様子も見受けられましたが、味の良さが知られれば今後はヒット商品になるのではないかという気がします。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>