「大阪湾のノドグロ」や「大阪湾の黒ダイヤ」とも称される高級魚「クログチ」。その釣果が今、好調を見せている。和歌山・紀北エリアの遊漁船「MCL」に乗り込み、筆者は初めてのクログチ釣りに挑戦した。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・夕日とぼうず)
大阪湾でクログチ狙いの釣行
筆者は今年7月、MCLで高級魚「シロアマダイ」を初めて釣る経験を得た。大阪湾奥で青物が釣れにくくなった11月中旬、連日釣果を上げるMCLのクログチに興味を抱き、挑戦を決意した。釣果が多いという情報に、釣りの技量に自信がない筆者でも釣れるのではないか、という期待が高まっていた。
クログチとは?
クログチはスズキ目ニベ科に分類される海水魚である。深場を狙うタチウオジギングで偶然釣れる魚だったが、その食味の良さや大きさから人気が急上昇している。
この数年で専用の釣り船や仕掛けが登場し、愛好家を増やしている釣りモノだという。深海100m以上を主な生息域とするため、漁の対象になりにくく、市場にほとんど出回らない。
その希少性から「高級魚」と呼ばれるが、実際には市場価格がつけられない「プライスレス」な存在とも言われている。
「クログチ」の名は、文字通り口内が黒いことに由来する。この特徴から、「大阪湾のノドグロ」や「大阪湾の黒ダイヤ」といった異名で親しまれている。MCLに通じた釣り仲間とともに、筆者はこの憧れの魚を狙うことにした。
100mより深場を狙う
11月23日、前夜から風速10m以上の強風が吹き荒れ、出船の見込みが薄い状況だった。しかし前日夕方、釣り仲間から「明日は……出船です!」との嬉しい連絡が入り、急きょ準備を整えることとなった。
YouTubeでクログチ釣りの復習を行い、翌朝7時に出船。風速は依然として9m前後で、船は大きく揺れる状況だったが、船長の熟練した判断と技術でポイントに到着した。
道中のフィッシングマックス泉大津店で購入したクログチ専用仕掛け「クログチ仕掛 3本(ハリミツ)」にサバの切り身2つ、イカの切り身1つをチョン掛けし、オモリ80号を垂らす。
釣行開始
8時5分、スタートフィッシング。強風に仕掛けをしっかり流し、絡まないよう水中に落とす。水深は130m。波に揺られながらフォールを続ける。長い体感時間のあと、トン、とオモリが着底するのを感じた。
1回転ほど底を切って、ゆっくりと竿を上げて誘う。竿を上げきったら、短時間ステイ。ゆっくり竿を下ろして着底させ、底を切ってステイ。この動作を繰り返す。
本命のクログチをキャッチ
8時16分、同釣者にファーストヒット。アベレージサイズにやや満たないくらいのクログチを慣れた手つきで船中に引き上げる。同釣者は立て続けに4キャッチ。
筆者はというと、仕掛けが絡まったり、エサが取られていたりでなかなかうまく釣りができなかったものの、落とし方と誘いを少々心得てきた8時45分、誘い上げ中に完全なアタリを感じた。
竿を下ろし、再び誘い上げをしている最中、念願のフィッシュオン。事前に知らされていたとおり大きなフッキングはせず、巻き合わせでしっかりと乗った。時間をかけて130mを一定の速度で巻き続け、やっと上がってきたのはアベレージサイズより小さなクログチだった。
初挑戦で3キャッチ
筆者はこのあと、かわいいミニサイズと、アベレージサイズより少し大きい40cmの良型を追加した。同釣者は7キャッチ。釣りやすいとは決していえないコンディションだったものの、クログチの活性は良かったようだ。
ちなみに、今回は青物のリレー便だったが、青物釣果は船中で5本とシブめ。筆者はノマセ中心で粘ったものの、アタリがあるも乗せることができず、青物は1匹も釣れずに終わった。
食材としてのクログチの魅力は、なんといっても身が上品で柔らかく、皮と身の間に脂がたっぷり詰まっていること。皮を炙ると脂がたっぷりとあふれ出てきた。初日は炙り、2日目は船長オススメのアクアパッツァ、3日目は鍋に入れて完食した。
クログチは4月頃まで釣れるとされている。冬のご馳走をまた釣りに行きたい。
実釣動画
<夕日とぼうず/TSURINEWSライター>