和竿は竹のしなやかさと独特の重みが魅力で、カーボン竿にはない自然な感触が味わえる。現代では入手が難しいものの、その丁寧な作りと実釣性能は長年使い続けられる強みがある。今回は、70年前の和竿でハゼ釣りを行い、カーボン竿との違いや和竿のメンテナンス、実釣での扱い方について紹介する。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・牧野博)
70年前の和竿をハゼ釣りで使ってみた
私が使っている竿は、父が若いころに使っていた清流用の竿で、主にハス(琵琶湖水系のコイ科魚)狙いの竿だと聞いている。
4.5mの小継の10本継、2本仕舞いの竿で、替えの穂先がついている。父はこの竿で川のヤマベ(オイカワ)釣りを楽しんでいたようだ。
ほぼ60~70年前の竿になると思う。竿の仕様などから見て、京都で作られた竿ではないかと思うが、詳細は不明である。元竿には、臍曲(へそまがり)という竿名が朱の漆で書かれている。
紀ノ川河口で16匹のハゼを手中
10月14日、午後2時ごろから紀ノ川左岸、せせらぎ公園の護岸で竿を出してみた。今回は軽快に釣りたかったので、手元を抜いて4.2mで使用した。
道糸は穂先から50cmをナイロン2号、手元までをPE0.8号にし、オモリはミニL天の1.3号。先に5cmほどの2本撚りを結び、仕掛けは競技用キス7号の2本針で、ラインシステムはカーボンのヘラ竿と全く同じである。
当日は食いが渋かったが、ハゼの居場所を足で探しながら2時間ほどで12~13cmの型を中心に10匹ほど釣った。
和竿ならではの釣趣を楽しむ
いつものカーボン製(4.2m)に比べ、振り込みの軽快感や操作性でやや重さを感じた。道糸にPEを使っているが、ハゼが触った感触の伝わりは、細身のカーボンロッドより少しゆっくりだ。
しかし一度ハゼが針がかりすると、竿がしなやかに曲がり、そのままじわっと竿を立てるとハゼが浮いてきた。
約70年前の古い竿だが、ハゼが小さい時にはそれなりに、型が良いときにはそれに応じてしなやかに曲がる。ハス竿なので手元近くにパワーがあり、不安感は全くなかった。
その後、2kmほど下流の北島橋上流に移動し少し追加。喉元まで針を飲み込んでおり、食い込みの良さはカーボンロッドを上回っていた。この日は2か所で、ハゼ14cmまでを16匹。
11月中旬まではミャク釣りでチャンスがある。穂先にリリアンを取り付けて「和竿でミャク釣り」の再挑戦釣行を狙っている。
釣行後の和竿のメンテナンス
和竿は丁寧に扱えば長持ちするが、良い状態を保つには曲がりの矯正などができる職人の手が理想的である。継ぎ目の割れや穂先の折れなどのトラブルは、竿師に相談するのが最善だ。
釣行後は各継ぎを取り外し、水拭きして陰干しする。軽いトラブルは自分で修理可能で、次回はリリアン交換も自分で行う予定だ。
和竿とカーボンロッドを使い比べて思うこと
竹竿はしなやかさや曲がり強さが特徴で、竿全体で魚を浮かせる力があるが、太く重く反発力が低い欠点がある。一方、カーボン竿は軽量で扱いやすく改良が進み、釣りが快適になった。
しかし、最近購入した新しいカーボン竿(33号4.05m)は硬調ながらも意外にしなやかで、しっかり振り込むと大きく曲がる。釣り道具としての「しなやかさ」は、操作性において重要な要素だと改めて感じた。
<牧野博/TSURINEWSライター>
紀ノ川河口