秋はあらゆる釣り物が賑わいを見せる季節で、海釣りの最盛期ともいえる。シーズンの始まりとしてひとつの参考になるのが、アジの動きだ。アジが入ってくると、オカッパリの釣りもいよいよ本格的になる。もちろんアジ自体も釣り物になる。今回はそんなアジをルアーで釣るアジングの基本と、序盤のパターンについて紹介しよう。すでにご存じの方も、念のための復習という感覚でおさらいしてほしい。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター井上海生)
アジングの秋は海水温24℃が目安
アジの動きは海水温に左右される。アジの回遊の適水温は15℃~24℃ほどで、これを上回っても下回っても極端に群れが薄くなる、ないし完全に抜ける。魚は変温動物だ。われわれ恒温動物である人間と違って、体温を一定に保つことができない。外気温と海水温の影響をモロに受けて、体温が上がったり下がったりしてしまう。殊にアジは水温に敏感で、1℃の変化を4℃の変化にも感じるという。それだけに海水温の情報には、釣る側として、常によく知っておきたい。
秋の到来と共に上がりきっていた水温も下がっていくが、アジが入ってくるのは、海水温24℃から。その中でも序盤はマヅメの一発勝負しかなかったりと、ハードモードになる。必ず釣れるわけでもないので、まずは気楽にいこう。釣れなければカサゴやメバルに釣り物をかえるといい。
タックル要件
アジングは通年タックル要件が変わらないが、一応、今現在のトレンドを紹介しよう。
ロッド:5ft台
リール:スピニングリール1000番重量150g前後
ライン:エステルライン0.25号
ロッドの軽量化が進むとともに、バランスを保つため、リールもなるべく軽くして150g前後が望ましいとされるようになった。D社ならばルビアス、S社ならばヴァンフォード。ミドルハイクラスがこれくらいの軽さだ。ちなみに今もっとも軽量なリールは、1000番で130g。今後10年は使える軽さになるだろうから、今買ってもいいかもしれない。
序盤は豆アジ釣りで練習
秋のアジング、シーズン序盤は、悶絶の釣りとなる。というのも、夏から秋序盤のアジは、サイズが小さいのだ。アンダー10cm、最大でも20cmで、アベレージが15cmの豆アジ。20cmサイズになるとちょろいもんだが、小さいアジを釣ることは、小魚界隈ではもっとも難しい。アタリは出るがかけにくい。
豆アジには専用リグで対応
タックルをより軽く、また竿先がより軟らかいものを使えば確かに豆アジは釣りやすくなる。しかしそれよりもなお、豆アジ攻略において重要なのが、「専用リグ」を用意することだ。これがあるだけで、天と地ほどの差で釣れ方が変わってくる。
特に「ジグヘッド」、これに尽きるといってもいい。ワームはアベレージサイズのものを多少千切ってしまえばその場で対応できるはが、豆アジ用のジグヘッドは造作が他のものとまったく違うので、必ず専用品を購入しておこう。豆アジ攻略に有名な商品は、ザ・豆、サイコロヘッド、など。アンダー10に挑戦するならば、漁港ヘッド、小豆ちゃん、など本当に小さな小さなヘッドも必要だ。
レンジは基本的に表層
豆アジのレンジはころころ変わるが、基本的に表層からチェックしておこう。日中は鳥に食われないために海底についているが、夜になると警戒心を解いて上に上がってきてプランクトンを捕食する。シーバスやチヌなどの天敵がいない海では特にそのパターンが顕著だ。
逆に、これらアジをベイトとする中大型魚が多い海や、タチウオがうようよいる海では、アジが身を隠しやすいストラクチャー絡みの中層以深を釣っていくイメージでいきたい。
「10尾キャッチ」がひとつの目標
豆アジングは難しい。アジは、そんなに賢くもないし、入ってくれば群れの密度も濃い中型が一番釣りやすいものだ。群れの密度が濃いと気が大きくなるのか、シーバスやチヌにもビビりにくくなる。中型が入ったタイミングで、バシバシと数釣りしたい。
その前の、秋序盤の豆アジングは、いわば来る中型アジングの練習台と考えよう。実際、豆アジを釣っていると「こういうレンジの合わせ方か」「なるほどアワセは不要か」など、学ぶことが多い。豆アジングは釣果よりも練習としての価値が高い。ひとまず数の目標は10尾として、コロコロ変わるレンジ対応や、群れの機嫌を読んでのリグを合わせるなど、練習に重きを置こう。
<井上海生/TSURINEWSライター>