猫。釣り場でよく見る。猫と釣りの関係を書いた小説だってあっていいくらいだ。学校にいけない少年が漁港で猫と親交をはぐくみ、ついに釣った良型のマゴチを、あっという間にその猫に取られていって茫然……みたいな。ところで釣りが上手な人の近くに猫が来る、なんて話は本当だろうか?そんなのは罪のない嘘に決まっているが、今回は釣りと猫の関係について語りたい。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター井上海生)
釣り場に猫がくる理由
漁港など足場の良い釣り場で猫が寄ってくるのは、もちろん、魚のおこぼれをもらえるからだ。お魚くわえた野良猫、なんて歌もあるが、猫はそこまで魚好きというわけではないらしい。ただ、にぼしを持って「猫活」みたいなことをしている人が釣り場にいるのも事実だ。
魚をやるのはもちろんいいだろう。かわいらしいものだ。
釣り場では、猫をいろんなところで見る。足つきのよい漁港はもちろんだが、驚くべきことに、私はちょっと陸から離れた堤防でも見たことがある。そこには潮が引いたタイミングではしごから登り、帰りは若干足を水に浸けながら帰るのだが、猫がいる。渡っていって戻ってこられなくなったヤツなのだろうか?
むろん、沖堤防なんかでは見かけたことがない。ネズミを見たことはある。
上手の人に近寄る?
猫は釣れる人のところに寄ってくる、とよく言われるが、そんなはずはないだろう。そんなオーラを見抜く力が彼らにあるとは思えない。その日たまたま当たっている人のところにせいぜい行くくらいだろう。
しかし、現地猫と交友関係を持つ釣り人をよく見ることはある。大体はラジオを持って釣り場に入っている年配アングラーだ。このやりとりなど見ていてほほえましい。「どうも俺には見えない何かと話している孤独なアングラーらしい」と身につまされて見ていると、猫と話しているのだから、まったく、良い人だ。そういう人のことは、猫もよく覚えているものと思われる。
クサフグは猫にやってよいのか?
大体漁港で猫にやる魚というのは決まっていて、サバかアジだ。メバルなんかもやっていいかもしれない。しかし、もちろんクサフグはダメだ。フグ毒は、猫に免疫があるわけもなくもし口にすれば腹を下すところか確実に死ぬ。生命を奪ってしまう。絶対にクサフグを猫にやってはいけない。
そうなるとサバとアジの寄生虫も気になってくるが……。
猫との印象深いかかわり
筆者は猫が特に好きではないが、猫からわりとなつかれるタイプではある。学生の頃から今まで、ずっと何尾かの猫になつかれてきた。最近までも、実は、マンションの駐車場にいた猫が足元に挟まってくるほどの、「猫好かれよう」である。
ところでこの猫、最近保護されたらしく、電信柱に飼い主を求める張り紙がある。
もちろんまったく気配を消して後ろ側にいた猫に、釣ったアジをパッと持っていかれたこともある。お魚くわえた野良猫を追いかけるはずもない。どうせ懲りずにまた近寄ってくる。私はお持ち帰りアングラーではないのだが、小さいアジくらいは海に帰してやりたいので、あんまり食い意地をはるのはやめてほしい。
地域猫をご存じ?
実はこの話をしたかったのだが、釣り場でも猫が飼えるかもしれない。
猫には、「地域猫」という飼い方がある。猫は特定の場所では、実は地域全体の愛猫として飼うことができるのだ。約3万円で自治体に申請して去勢手術を済ませる。そして耳に三角のカットを入れると、それは地域猫という意味だ。エサをあげても差し支えない。
私は猫が釣り場で何かしら悪戯されていることを見たことがないが、そのへんの野良猫でも釣り場でも、そういうことをするばかがいないとも限らない。なじみの釣り場ではできれば釣り人と共に地域猫にしたいものだが、そんなことが可能なのだろうか。
<井上海生/TSURINEWSライター>