シーバス釣りなどでよく耳にする「バチ抜け」という単語。釣り初心者は知らない人も多いと思います。いったいバチ抜けとは何なのでしょうか。調べてみました。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
バチ抜けってなに?
釣りで扱う虫エサと言えばイソメやゴカイを想像する人も多いでしょう。
バチというのはこのゴカイなどのいろいろな環形動物の総称で、川などで流れている姿が太鼓のバチのように見えた」という事から「バチ」と呼ばれるようになったと言われています。
《バチ抜け》というのはこれらのゴカイやイソメなどが繁殖行動のために「海底付近の泥の中から出てくる」ことを表現した造語です。
この産卵行動は集団で起こるもので、タイミングさえ合えば、見渡す限り辺り一面バチに覆われるほどのウヨウヨと泳ぎ回る様子を確認することができます。
釣り関連でしかこのワードを聞くことはないと思いますが、「バチ抜け」というワードを耳にする場合は、この産卵シーズンに合わせてサカナが捕食するために活性が上がり、大きなサカナが釣りやすくなることを想像するとよいでしょう。
バチ抜けが釣りに有利なのはいつ?
先にも述べましたが、バチは普段水底の柔らかい土の中に棲んでますが、冬から春にかけての繁殖行動のために泥の中から出てきます。
中でも、春の潮が大きく動く「大潮~中潮(水中の変化が大きい)」の日に、満潮から潮が下げていくタイミングで一斉に土の中から抜け出てきます。
バチは遊泳能力が弱いため、潮汐による水中の変化が大きい日に自ら流されることで、繁殖のチャンスと生息域を拡大しているのです。
バチ抜けは場所とそこに生息してるバチの種類によりますが、だいたい2-3ヶ月程度続き、夏の中頃にもなるとこのような現象もだんだんと起こらなくなってきます。
釣りにおいては、このバチ抜けを狙って、シーバスやクロダイなどの大型のサカナが、ウヨウヨいるバチを手当たり次第に食べまくることから、ルアーへの警戒心も薄れ、普段よりも大型のサカナが釣れやすくなり、釣り人にとっては狙い目の時期として知られています。
しかし、このバチ抜けシーズンだからと言っても、1日中ずっとサカナが釣れるタイミングになるわけでもなく、バチがパターンとなるのはほんの数時間程度で、日によっては30分だけなんてことも珍しくはありません。
バチ抜けを狙って釣りをする場合は、事前に近隣の釣具店などで情報を仕入れておくのが良いでしょう。
バチ抜けパターンと言われたら
ルアーで狙う場合はニョロニョロと水中を流されるバチをイメージさせる細身のシルエットで10cm前後のものを用意するといいでしょう。
しっかりと泳ぐというよりかはフワフワと漂っているイメージで臨むといい釣果に繋がるかもしれません。
また、バチ抜けは水面付近のイメージを持つ人も多いと思いますが、実際は水深の深い場所でも同じようにバチ抜けが起きていることもあります。
日によって状況は大きく変わるため、ルアーのシルエットを意識するだけではなく、フローティングやシンキングなど様々な状況に対応できるようにしておくことが肝心です。
バチを狙って河口はフィーバータイム
バチ抜けでピックアップされるのはシーバスやクロダイですが、そのほかのサカナも同じようにバチが流れてくる河口付近に集まってきます。
マゴチやヒラメ、マダイなど、まさかまさかの意外なサカナが釣れるかもしれないのが「バチ抜けシーズン」。
ぜひ、釣りに出かけてみて下さいね。
<近藤 俊/サカナ研究所>