日々、多くのお客さんを乗せ海に出る船宿。その船宿によって客層は多岐に渡る。釣り船に乗りながら天ぷらを楽しめる船宿大山丸は、竿すら握ったことのない未経験者の乗船が多い為、フォローも手厚い。そんな未経験者にどんなフォローをしているのか、また「これだけはやめて欲しい」というお願いも聞いてみた。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWS編集部 河野)
釣り未経験者の乗船が多い船宿
大山丸を利用する方はどんな人が多いのか、その中で達人級に釣る人はいるかどうかについて伺った。
どんな釣り人が多い?
本当に、竿すら握ったことのない釣り未経験の方がほとんどですね。直近でご案内したお客様は、「これから渋谷に遊びに行くのか」と思ってしまうようなファッションで釣りに来られる方もいらっしゃいました(笑)。
ウチは仕立て船の専門なので、会社でやっている釣りクラブや、学生さんのサークル活動の一環として使われることもありますね。
達人級に釣るお客さんは?
達人級……いないですね。いまは本当に素人さんや、初心者の方しかこないです。昔は、現役を引退された高齢の常連さんが多く、皆釣り上級者でした。しかし、時代が進むにつれ亡くなっていく方も多く、今は若いご新規さんがほとんどですよ。
印象に残っているお客さん
以前1名だけ釣り経験者で、残りは釣り未経験者というグループが乗船された時がありました。魚を捌くことができるのも経験者の方のみだった為、船中で10匹程度釣ったタイミングで、「もう終了でいいで~す!」とアガリ宣言をされたのは、印象的でした。
他の釣り船でアジを狙う人の目標って100匹という人が多いですよね。しかし、未経験のお客様はアジが数匹釣れたら大興奮で満足されることが多いです。
「沢山釣れても困る」という方も多いので、どんなに遅くても昼過ぎには帰るようにしていますね。ショートでできるという点は初心者にもおススメだと思います。
釣り未経験者へのアドバイス
釣り未経験者が多く乗船する大山丸。そんなお客さんにどのようにアドバイスをして、魚を釣らせるのか伺った。
レクチャーを徹底
どんな方にも乗船前に、「ベテランですか~?」と一応声掛けします。そこで、初心者と返ってきたら乗船前に一連の流れをレクチャーします。ただ、乗船前にレクチャーしても実際に釣り場に行った時には、ほとんど覚えていないことの方が多いので、中乗りのお手本を見せた上で釣りを始めてもらいます。
一般的に遊漁船ではタナの指示を「底から〇m、上から〇m」と言いますが、釣り未経験者にそれを言っても絶対にわかりません。その為、タナの指示は、「仕掛けを落として、糸がふわっとしたら〇巻きして待ってみて」と伝えます。そうすれば、ラインの色の間隔など覚えずともタナを合わせられますからね。最初はてんやわんやしていた方も、アドバイスをして慣れていく姿をみていると私たちもこの仕事をしているやりがいは感じますね。
未経験者でも釣りやすい魚は?
イシモチはおススメです。イシモチであれば、仕掛けを落としてから向こう合わせで引きも強いです。その為、ヒットした時に「釣れた」という感覚を一番感じやすいです。
なによりもお客さんには「釣った体験」を最優先に味あわせてあげたいので。そこにアジが回っていると尚喜んでもらえますね。
初心者がやりがちな失敗
最後に初心者がやりがちな失敗について伺った。
修復不可能なほど絡まる仕掛け
これは想像しやすいと思いますが、やっぱり仕掛けが絡んじゃうことはたくさんあります。釣り開始直後とにかくSOSが来るので、私と中乗りは修復作業で忙殺されますね(笑)。
未経験者の方には、少しでも絡まった時点で無理やりラインを引っ張るのではなく、できる限り緩めた状態でSOSを出してもらえると助かります。
コマセビシの巻き上げ
これも良くあるのですが、まきエサを入れるビシを上まで巻いちゃうことですね。ビシを一番上まで巻いてしまうと、トップガイドさらにはロッドの先端まで折ってしまうことになり、悲惨な結末を迎えます。ビシも無くなってしまうので、これはできる限り避けて欲しいものがありますね。
巻上げはビシが水面にちょっと出るくらいで止めるのが理想です。正直、本当に良く折られるので、1-2回であれば修理して再度使っています。その為、レンタルロッドのうちの何本かは、結構短くなっていますよ。(笑)
初心者なのでしょうがないですが、できる限りレクチャーに耳を傾けてもらえると失敗も減ると思うので、いっしょにがんばりましょう!
<河野/TSURINEWS編集部>
大山丸
都心からほど近い立会川から出船する大山丸。仕立専門で受け付けており、家族や仲間と気兼ねなく楽しむのに最適です。出船、帰港時間を自由に設定できることも魅力的。