年の瀬の釣行に水を持っていくのを忘れた。非常に苦しい思いがしたものだ。案外に釣り中に水分補給していないなと感じることは少なくないが、最初から水がないと思うと、若干怖くなる。脱水症状の危険もある。そのとき私が実践したことや、対策までを紹介したい。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター井上海生)
大失敗「水分を忘れる」
釣りにおける準備の失敗はいくらでもある。代表的なところではヘッドライト忘れ、フィッシュグリップ忘れだが、また手痛いものとして「水分忘れ」がある。清涼飲料水、水、まあ何でも。ろくに水分を取っていないと、夏でも冬でも、どんな季節でも、集中して釣っているとフラッと来る瞬間がある。
この愚を犯しても挽回のしようはある。そのへんの自販機やコンビニに入って好きなものを買ってしまえばいいのだ。しかし先日の私は、まったくワケが違った。水を持参するのも忘れた上、近くにコンビニもなく、自販機はあるのだが現金しか使えず財布も持っていないと言う、水分補給に関して完全に詰んだ状態だったのだ。
緊急の対策
この際私の頭に浮かんだのは、先日ビデオで見た『CUBE』という30年近く前の洋画だ。
『CUBE』という謎の立方体の中に閉じ込められた被験者たちは、脱出を目指す。彼らには水も水分も与えられていない。その中の一人、刑務所脱獄の常習犯が言うに、「服のボタンを千切って舐めろ。唾液が出て喉が潤う」とのこと。
「服のボタン」に当たるものがないか、荷物の中を探し回ると、ひとつそれに類したものがあった。それが、ルアーのフックカバーだ。
こいつを口の中に入れて転がしてみる。至福のように唾液があふれ出た。これで気がまぎれる。おかげで、釣りを続けることができた。緊急の対策として活きた。
どうやら口の中にものを入れて転がすと、ベロの下にある唾液腺が刺激されるらしい。それえで唾液が出て、潤ったような気分が得られる。だからおそらく、「服のボタン」や「フックカバー」のようなものがなくても、ベロで下前歯の後ろを舐めれば唾液が出て口内が潤うはずだ。
現金は持って行こう
当然、水分を確実に持っていく。これ以上のことはない。だが釣りには多々準備しなければならないものがあり、何かを欠くこともあるものだ。これまでの経験ではヘッドライト忘れが最大に痛かったが、今回、水分忘れがどれだけ精神に響くかも、まさしく痛感した。
みなさんは買い物の決済は何でしておられるだろうか?私は90%電子マネーだ。落としたくないし、運転もしないので、必要がなければ財布は一切持っていかない日常を送っている。現金をまったく手に持たず歩いているわけだ。
この度の水分忘れでは、この癖が祟った。「現金がなければ、終わり」という場面がまだどれだけあることか!自販機が完全に電子マネー対応してくれば助かる。今回もコーラの自販機で「Coke on」というアプリがあってコイツで支払えそうな感じもしたのだが、最終的に不可能だった。すべてケータイで済ませるにはまだまだ無理がある。
おすすめしない行為
緊急対策として「フックカバー舐め」を紹介したが、その他にもこのときの釣行では、いくつか試みた。その中でもまずかったのは、「草から露を取る」というものだ。夜露がおりた草を千切って舐めてみたのだが、強烈な野草のニオイが口中に一瞬に広がり、口の中が青まずくなり、泣きそうになった。
海水を口に含むこともよくないと言われる。人体の塩分濃度と、海水の塩分濃度には2.5%の差があり、まったく体に合わないのだ。池とか川の真水なら口に含んでいいのか?清流ならむしろ試してみたい気がするが、どうなんだろう……やはり菌もいるだろうし、危険な行為のように思える。
冬の釣りも、口の乾燥にさいなまれるものだ。おさおさ水分をお忘れなく釣行を。
<井上海生/TSURINEWSライター>