海上での手前船頭の釣りを始めたい方にとって、カヤックと2馬力ボートはいずれも有力候補。どちらも免許や船舶検査が必要なく、自分で所有できる自分専用の船です。今回は、カヤックと2馬力ボートを比較し、これから入門する方にとってのハードルの高さを検証します。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・福永正博)
カヤックと2馬力ボートの特徴
まず、この解説で対象とするカヤックと2馬力ボートがどのようなものかふれておきましょう。
カヤック
基本的に、両側にブレード(水かき)がついたパドルで漕ぐ小舟をカヤックと呼びますが、筆者が愛用するホビーカヤックのように、足で漕ぐタイプも釣り用として人気があります。
海のカヤックフィッシングで主流なのは、気室を確保した船体の上に座る「シットオントップ」と呼ばれるタイプ。波をかぶってもカヤックの気室内に海水は侵入せず、スカッパーホール(排水穴)から排出される特徴をもっています。
ひっくり返ってしまうことはあっても、沈んでしまうことはありません。素材は、ポリエチレンやFRP、ABSなどの樹脂製が一般的です。
2馬力ボート
一般的にいわれる2馬力ボートとは、出力が2馬力未満のエンジン(船外機)を積んだ、長さ3.3m(登録長3m)未満のボートのこと。この条件を満たしていれば、船舶免許や船舶検査(船の車検)が必要なく、2馬力ボートの人気が高い大きな理由となっています。
シットオンタイプのカヤックと違い、侵入してきた海水が船底に溜まっていく点は、多くの方が想像するボートのイメージどおりですが、船体に浮力をそなえた不沈構造のモデルも存在。
たいていのモデルは、カヤックとくらべて幅が広いため安定性に優れており、船上のスペースにも余裕があります。
大きく分けて、空気を入れて膨らませるゴムボートと、ポリエチレンやFRPなどの樹脂で作られたボートの2種類があります。それでは、カヤックと2馬力ボートの入門ハードルについてくわしく見ていきましょう。
ハードルその1:価格
まず、入門する際のハードルとして思い浮かぶのが価格です。
激安モデルは避けた方が無難
価格の高さは、導入時のハードルの高さに直結しますよね。とはいえ、品質に不安がある激安モデルはおすすめしません。大げさではなく、自分の命を預けるものですから、ある程度の出費は必要だと思ってください。
また、安さ最優先でカヤックやボートを買った方は、その後に上位モデルが欲しくなることが非常に多いです。いざ手放したくなっても、中古の激安モデルは買い手がつきにくく処分に困ることも……。
最終的には個人の自由ですが、安物買いの銭失いにならないようにしたいですね。
カヤックと2馬力ボートの価格帯
フィッシングカヤックは10万円台が最低ライン。おおよそ30万円以上になってくると、ベテランでも満足できる上位モデルの部類に入ってきます。
2馬力ボートも10万円以上のモデルをおすすめしますが、それはあくまでボート単体での価格。当然、別途エンジンが必要です。ホンダやスズキ、トーハツなど、信頼性が高い国産メーカーのエンジンは10万円以上すると考えてください。
2馬力ボートの場合、船体とエンジンなどがひと通りそろったセット販売も一般的で、別々に購入するより割安なことも多いので要チェック。
セット価格の目安は、25万円ほどからスタートして40万円台くらいです。もちろん、ボートのグレードや素材、オプションの有無によって価格がちがってきます。
ボート本体以外に必要なもの
2馬力ボートの場合、船体とエンジン以外にも必要なものがたくさんあります。
・予備の燃料を運ぶガソリン携行缶
・エンジンの運搬やメンテナンスに使用するエンジンスタンド
・各部のスペアパーツ
・ポリ・FRP艇の場合はサイドフロート
・ゴムボートならば空気入れ
カヤックと2馬力ボート共通のものでは、ライフジャケットやセーフティフラッグなどが挙げられます。
と、これで終われば良いのですが、ほとんどの方は魚探やロッドホルダー、船体の大きさに合ったクーラーボックスなどが必ずほしくなりますよ。
2馬力ボートの方が高価
一般的な傾向としては、2馬力ボートの方が価格のハードルが高めといえるでしょう。釣行のたびに燃料代がかかる点でも、2馬力ボートが金銭的に少し不利な印象です。
とはいえ、カヤックと2馬力ボートどちらにしても、すべてを一からそろえる場合は、本体以外にもそれなりのお金がかかると考えておきましょう。