釣り人にとってはすごしやすい秋だが、海水温は上下動を繰り返しながら徐々に低下。下降線をたどる海水温の上下動はチヌにとって嫌な環境のようだ。また、秋は厄介なエサ取りの活性が非常に高くなるため、さらに釣りにくさも増す。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース西部版 編集部)
釣り場選び
私が秋に通う釣り場は、佐賀県唐津市晴気沖や長崎県佐世保市南九十九島一帯。チヌは、外気温の影響を受けやすいけれどエサが豊富な浅場と、消耗した体力を回復・温存しやすい海水温が安定した外海を行き来している。そのため、沖の潮が出入りする水深10m以上の外海に面した波穏やかな湾内の釣り場を私は選んでいる。また、秋は北寄りの風が吹くことが多いので、風裏となる南向きの釣り場を選ぶと快適な釣りができる。
釣り始めにタナ取りを
秋はチヌが海底から離れないことが多いため、私は水深10m以上の底層を半遊動仕掛けで釣る。一定のタナをキープする半遊動仕掛けの場合、釣り始めに必ずタナ取りを行う。
「水深はどれくらいなのか?」「地形は平坦なのか?起伏が激しいのか?」「沈瀬の有無は?」などを知ることで、目に見えない海中の状態を具体的にイメージしやすくなる。そして、「潮の流れる方向がどの方向なのか?」と、合わせて考え最終的にどこにまきエサが溜まりやすい(=チヌが集まりやすい)のか?という観点でポイントを絞り込む。
まきエサ・つけエサ選び
秋のエサ取りの中で一番厄介なのは、足が速く大群で群れるアジやサバ類。私の場合、これらのエサ取りをかわすために、まきエサにはオキアミ・アミ類を一切入れない。そのかわりに冷凍サナギミンチとコーンをベースにした、海底まで縦長の煙幕ができるような比重の重いまきエサ作りを心掛けている。また、ポイントを作ってチヌをできるだけ足止めする意味においてもまきエサの量は欠かせない。
ちなみに私は、一日9時間の釣行では最低でも40cmのバッカン1杯半(約20kg)以上のまきエサを準備している。
つけエサはエサ持ちの良いコーンをメインにするほか、数種類の練りエサを単品で使用したり、ブレンドしながらその日の当たりエサを探るようにしている。
半遊動仕掛けに使うウキは、自重が重い(30gくらい)棒ウキを私は愛用している。棒ウキは視認性に優れるため、投入した仕掛けの位置を正確に捉えることができる。また、ウキの自重が重いことで30m以上でも楽に遠投でき、風による上潮の滑りの影響を受けにくいという利点もある。
さらに、円錐ウキ(中通しウキ)と違いウキ下部の小さなサルカン部分で遊動するため、イト落ちが速く軽いガン玉でもスムーズにつけエサを落とし込むことができる。
ウキの浮力選び
ウキの浮力選びについて私は、風や潮の強弱に合わせて自重が重いか?軽いか?で使い分けている。例えばナギの日や潮の動きが緩い時は自重が軽い5Bを使い、風が吹く日や潮が動く時は自重が重い3Bのウキを使う。
わずかな差のように思えるが、実際には大きく異なる。風や潮の強弱によって遊動時(イト抜け時)のイト抜けの角度が変わるため、まきエサを打つ範囲も変わる。まきエサの横幅が、自重が軽いウキほど広くなり、重いウキほど狭くなる。