冷凍エビの代表として市場に欠かせないブラックタイガー。こんな名前ながら実は日本にも生息しています。
(アイキャッチ画像提供:茸本朗)
冷凍エビの代表格「ブラックタイガー」
スーパーマーケットの冷凍コーナーで常に一等地に置かれている「冷凍エビ」。尾頭付き、殻付き、むきといろいろなバリエーションがありますが、その多くに「ブラックタイガー」というエビが使われているのはきっとご存じでしょう。
ブラックタイガーはかつては世界で最も生産されていたエビで、東南アジアの海岸で盛んに養殖され各地に出荷されていました。
病気に弱く、養殖時の大量斃死が問題となったことがあり、より養殖が容易な「バナメイエビ」への切り替えが進んでいるものの、現在でも重要品種となっています。
和名は「ウシエビ」
ブラックタイガーは、体表にトラのような黒い縞模様が入ることからこのように呼ばれています。英語名なので海外にしかいないエビと思われがちですが、実は日本語の名前も存在しています。
ブラックタイガーの日本での名前は「ウシエビ」。上記の通りかなり大きくなるエビで「まるで牛のように大きい」ことからこのように名付けられたそうです。
クルマエビの仲間では最も大きくなるもののひとつで、30cmを超えることもあります。最近ではそのような超大型個体を「シータイガー」と呼んで販売することもあります。
実は日本でも採れる
和名があるということで感づいた方もいるかもしれませんが、実はこのブラックタイガーは日本にも生息しています。東京湾を北限として西南日本に生息しているのですが、数は多くなく、クルマエビほどには漁獲物としてメジャーではありません。
しかし浜名湖では少量ながら漁獲され、生の状態で流通しています。また西日本では他のクルマエビ科のエビと混獲され、数がまとまれば流通にも乗るようです。
このような国産品が手に入ったら、やはり生で食べるのが最高です。クルマエビと比べると大味だといわれることもありますが身の甘みが抜群。大型であることから歯ごたえもよく、かぶりつく喜びが味わえます。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>