釣り人の真価が問われる祝い鯛ミッション。プレッシャーのかかるなか夫婦で好釣果となった釣行をレポートする。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター宮崎逝之介)
お食い初め用真鯛を釣る
ひと月ほど前のことだ。筆者の長女から家族LINEで真鯛を用意してほしいというミッションが届いた。この春誕生した孫娘のお食い初めの祝い膳用にとのことだ。妻は真鯛なんて釣らなくても買えばいいじゃないというが、これはなんとしても釣らなければ釣りバカの名折れである。
筆者は、この時期真鯛釣りの予定はなかったが、急きょいつもお世話になっている能生漁港・子丸のタイラバ&ジギング乗合船を予約した。子丸は少人数制(4人)のドテラ流しスタイルでタイラバを得意とする遊漁船だ。
妻がまさかの参戦
数日後、筆者を揺るがす緊急事態が発生した。一生一緒に釣りすることないと思っていた、生臭いものが嫌いで、魚介類が苦手で、釣りなんか絶対しないといつも言っている妻がどういう風の吹き回しか、「私も一緒に行きたい」と天地がひっくり返るほどのサプライズ発言。
もちろん釣りの経験はほとんどない。かわいい孫娘のために自分で真鯛を釣り上げたいのかと聞くと照れたのかそうではないという。もしかしたら筆者だけでは真鯛キャッチが心許ないとでも思ったのか。本心はよく分からないままだが、真夏の船釣りの過酷さを説いても決意は揺るがず、さんざん念を押した挙句、定員に空きがあったので一緒に乗船することになった。
序盤に狙いを定める
7月末日。日焼け対策・熱中症対策・船酔い対策を入念に整え、夜中の2時に自宅を出発し早朝4時に港に集合。この日は波も風も穏やかで初心者にも絶好のコンディション。日差しも弱めでわりと過ごしやすい天候だった。
児島船長によると最近の真鯛の釣況は、産卵後の荒食いの時期ではあるもののアタリは朝方に集中し陽が高くなってくると渋くなるとのこと。なるほど序盤の短時間が勝負のようだ。
しかし、最初のポイントに到着すると、筆者はタイラバを速攻で投入したい気持ちをグッとこらえて、釣り兄貴として超初心者の妻にリールの操作や釣り方などを説明し、タイラバが正常にフォールできていることを見届けてから自分のタイラバを投入。
ビギナーズラックで船中ファースト真鯛キャッチ
水深約130m。妻のタイラバは120g、筆者は軽めの80gでスタートしたが、予想以上にタイラバが潮に流され底が取れない。そこで二人ともいったん回収し一気に200gまでウエイトアップしてみた。先に妻のタイラバを結び直し投入を見届ける。
続いて自分のタイラバを結び直し遅れて投入。すると早速「来た来た」と船長の声。なんとほぼ釣り未経験の妻の竿先に真鯛らしきたたき。筆者はまだ着底もしていないのに。妻は教えたとおりに手巻きでゆっくりゆっくりリールを巻き続ける。数分後顔を見せたのは1kg前後の本命真鯛。
初心者の妻が船中ファースト真鯛をキャッチしてしまった。祝い膳の塩焼きにちょうど良さげなサイズだ。
真鯛連続ヒット
ここで、釣り兄貴の筆者はタイラバを海底から数m巻き上げた状態でいったんロッドホルダーに竿をホールドし、妻が釣り上げた真鯛を針から外し、ナイフで〆て血抜き。と、「宮崎さんアタッてるよー」と船長。なんと置き竿状態の筆者のロッドに真鯛がヒット。
釣った感はないが、筆者も2kgクラスの真鯛をあっさりキャッチ。さらに妻は連続ヒットで2枚目の1.5kgの真鯛をキャッチ。普段の生活ではあまり使わない筋肉を使って130mの深場から手巻きで真鯛を2枚巻き上げた妻はもう腕がブルブルとのこと。
ジギングで青物のお土産も
ここで釣り兄貴、妻に手巻きの釣りを堪能してもらったところで電動リールの使い方をレクチャーした。このあとポイントを移動しながら、筆者は真鯛2枚追加。ゲストのフグやサバにも楽しませていただいた。
終盤移動中に船長が見つけた好反応で、妻は筆者と同数となる3枚目の真鯛をキャッチ。筆者はジギングで69cm4kgのワラサをキャッチ。うれしい青物ゲットとなった。
最終釣果
筆者は66cm2.4kg頭に真鯛3枚にワラサ1本とレンコ鯛2匹。人生初真鯛をキャッチした妻は、釣り分けたかのように本命真鯛ばかり60cm2kgを頭に筆者と同数の3枚。最後のバラしがなければあわや単独の竿頭となるほどの活躍ぶりだった。
かくして、お食い初めの祝い鯛の栄冠は妻が最初に釣り上げた最も小ぶりな1kg前後の真鯛に輝いた。それ以外は塩焼きには大きすぎた。それにしても、今回は、ほぼ釣り未経験者でも真鯛が釣れるタイラバの楽しさとそれをしっかり釣らせてくれた船長の凄さをあらためて実感した釣行となった。
<宮崎逝之介/TSURINEWSライター>