沖縄では高級魚として親しまれていますが、本土での知名度はいまいちなタマン。しかし今後はもっとメジャーになっていく可能性が高いです。
(アイキャッチ画像提供:茸本朗)
海の日に「タマン」を放流
先月中旬の「海の日」の祝日に、沖縄県名護市のビーチで「タマン」という魚の稚魚が放流されました。
この放流イベントは、名護市のリゾートホテルと沖縄観光コンベンションビューローが開催したもの。参加者たちは名護市の海岸でタマンという魚の解説をうけてから、海に入って稚魚を放流しました。
今回のイベントでは、およそ1200匹のタマンの稚魚が放流されたそうです。
沖縄を代表する魚のタマン
この「タマン」という名を聞いてピンとくる人は、東日本ではおそらくあまりいないでしょう。各地でタマン、あるいはタマミなどといった名前で親しまれていますが、標準和名はハマフエフキといいます。
タマンは大きくなる魚で、1mを超えるサイズになることもあります。南方系の魚であり、日本では本州南部以南に棲息します。
タマンが含まれるフエフキダイ科には、メイチダイなどややマイナーな高級魚が多く含まれます。やや磯臭い個体もいるものの、概ね美味とされます。サイズが良いこともあって、沖縄では高級魚のひとつとなっているほか、非常に引きが強いことから釣りの対象魚としても人気が高い魚です。
生息域北上中
そんなタマンですが、実は現在、かなりの勢いで生息域を北東に拡大しているとみられています。
かつては本州の釣り人がタマンを狙おうとすれば、紀伊半島南部かもしくは伊豆諸島に渡るなどしないと釣ることができませんでしたが、今では伊豆半島でも狙って釣ることができます。先日にはなんと房総半島でも釣り上げられて話題となりました。
このままいけば、三浦半島などでも釣れるようになるのは時間の問題でしょう。関東地方が生息域になり水揚げが増えれば、徐々に食材としての知名度も上がると思われます。今後は魚屋でも見かけるようになるかもしれません。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>