例年GWごろになると、三重県方面のイカダやカセではクロダイも産卵に突入してやや食いが落ちてくる。そこで今回は日本海側を攻めてみようと5月上旬、福井県小浜市仏谷の奥城丸渡船へ釣行した。船長の話では浅場の児島イカダは食いが落ちてきたので、萩の下のイカダに渡ることになった。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 編集部)
奥城丸渡船でカカリ釣り
予約時に出船時間を尋ねると、一番船は午前4時30分とかなり早い。しかし、当日は諸事情で現地で太郎さんと合流したのは午前6時30分すぎ。すぐに受付を済ませて出船。前日かなり雨が降ったそうで、海の色は白っぽく水潮気味だった。
渡ったイカダは水深8mほどの萩の下イカダ。渡ってすぐ一番船で前方のイカダに渡っていた釣り人から「モーニングで1匹釣れました」という声が。「今回は仕方ないですが、やはり一番船で来てモーニングを狙った方が絶対にいいですね」と太郎さん。船長からも「早朝はチャンスですからね」と言われる始末。釣れるときに釣る、時合いを逃さない。鉄則だ。
すぐに始めましょうとタックルのセットに取りかかる。サオはシマノのイカダリミテッド1.58m(穂先は8対2)、リールはセイハコウリミテッドRC83、ラインは東レ筏かかり参2号通し、ハリは勝負ちぬ筏の3~4号。さしエサは、マルキユーのスーパーハードBIGのL、くわせ丸えびイエロー、激荒、ボケ。
顔を見せたのは45cmカレイ
タックルの準備が整うと、「もう午前7時、モーニングというにはかなり遅いですが……」と言いながら、まずは0.5号のオモリをハリ上40cmに付けて小ボケのエサで投入する。ところが、雨の影響もあってか上潮だけがすごい勢いで滑るように双児島方向に流れている。すごい流れだが、上潮だけで底潮はほとんど動いていないそうだ。
そして二度三度と誘いを掛けたとき、モゾッという小さな反応があり、スーッとサオ先が海中に吸い込まれた。即アワせると、サオがギューンと大きく曲がる。「これはいきなり本命ですね。40cmぐらいかな」と太郎さんが言った瞬間、なぜか突然のハリ外れ。なんで?エサは小ボケ、完全に吸い込んだのに。
気を取り直して再度小ボケで投入する。しばらくすると再び前アタリが出た。今度は先ほどよりさらに食い込ませてアワせると、乗った。しかし首を振るような気配がなく、引きもおかしい。やがて水面近くまで浮いてきたのは、一瞬ヒラメかと思ったが、45cmほどのカレイだった。
滑るような上潮に苦戦
この後もサオ下からイカダの周囲を広角で探るが、エサ取りもほとんどおらず無反応。すぐにモーニングに見切りをつけてダンゴ釣りに切り替える。太郎さん鉄板のダンゴは、パワーダンゴチヌ1袋、大チヌSPハイパー1袋、生オキアミクラッシュ2kg。
定石通りオキアミからスタートする。しかし、滑るような上潮の影響で、オモリなしではあっという間に仕掛けが流され釣りにならない。すぐにハリ上50cmに3Bのオモリを付けて対応。これで若干仕掛けは安定したが、底潮が軽いのか穂先に掛かる負荷が弱い。
待望の45cm本命登場
しばらくダンゴの打ち返しを続けていると、ビリビリというアタリでクサフグがハリ掛かり。たまにアタリがないままエサが取られるのでカワハギもいるようだ。ボラもあまり寄らないが、「この時期の日本海側はこんなもの」らしい。
こんな状況が午前11時すぎまで続いたので早めに昼食を取ろうと思ったが、「急に潮が緩くなってきました。今が時合いかもしれないのでもう少し続けます」と太郎さん。確かに潮が緩んだようで仕掛けが真っすぐになっている。
そして午前11時45分、弱いながらもダンゴアタリが出てくると、ダンゴが割れてエサが出た瞬間、穂先にモゾッという前アタリ。続いてスーッと押さえ込む本アタリがきた。アワセを入れると、ギュンギュンとサオを曲げる。姿を見せたのは本命クロダイ。検寸すると45cmあり、エサはオキアミだった。
この後、オキアミやボケで打ち返したがアタリはなく、午前中はこの1匹で終了となった。
怪しいアタリをつかんで41cm追釣
昼食を取り、午後1時前に再開する。潮は緩んでいたが、カワハギの仕業かアタリがないままエサが取られるという状況が続いた。しかし、1時30分を過ぎたころから再び怪しいアタリが出始めた。「これはチャンスかも」と真剣に穂先を見つめる太郎さん。
すると5分後、突然大きくアワセを入れた。これも本命らしく強烈に走り回る。やがて姿を見せたのは1匹目よりやや小ぶりの41cmのクロダイ。これもエサはオキアミ。
時合い到来かと期待したが、再び潮が滑るように速くなり、アタリは止まってしまった。次のアタリは午後3時30分ごろ。小ボケを使用していたが、なぜか再び途中でハリ外れ。「少し居食い気味でしたが、なんで外れるのかなぁ」と首をかしげていた。
潮の緩みがチャンス
納竿時刻は午後6時なので、夕マヅメのゴールデンタイムに期待したが、残念ながら本命の姿を見ることはなかった。朝一番の時合いは逃したが、滑るような上潮が緩んだ時間帯に良型クロダイが顔を見せてくれた。
伝統ある仏谷イカダのクロダイはこれからが本番だ。児島、萩の下、双児島など、数多くのイカダが点在する。それなりに特徴があるので当然のことながら慣れが必要となるが、皆さんもぜひ日本海で大型クロダイに挑戦しよう。
<週刊つりニュース中部版 編集部/TSURINEWS編>
奥城丸渡船