名手・山本太郎氏が実釣を通して当日の模様を詳しく解説していく『チヌ釣り伝道師!山本太郎の好釣果へのターニングポイント』。今回は、乗っ込み期の狙い方について紹介しよう。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 編集部)
参考タックル
ロッドはイカダリミテッド、リールはセイハコウリミテッドRC83、ラインはチヌ筏かかり参1.5~2.5号、ハリは勝負ちぬ筏2~5号、オモリはゴム張ガン玉各種。
入門者向けとしてお勧めのタックルは、ロッドはアドバンスイカダ1.5~1.6m、リールはセイハコウSPRC83。
ラインとハリの大きさがキモ
私が乗っ込み期に最も気にするのが、ラインの号数とハリの大きさだ。ベタ底にしっかりナジませたり、周囲をオモリ装着で探ったり、深場では宙層を落とし込んだりと、ラインの柔軟性を重要視する。
従って、ラインは細いに越したことはないが、不意の大物にも備えるということで1.7号と2号の出番が多い。春チヌはシーズン中で最もパワーがないので特に支障を感じたことはないが、そこは自分の好みと諸条件を踏まえて臨機応変に対応しよう。
ラインとハリのバランスにも気を配りたい。例えば、1.5号のラインにチヌバリ5号ではラインが負けるし、ライン3号にチヌバリ2号ではハリが負けてしまう。バランスは大いに重要なので注意したい。
もう1つ、オモリの使い分けも好釣果に結びつく必須のアイテムだ。非装置で攻めたり、ちょっと大きなオモリで周囲を探ったり。トントン状態であっても、オモリによってさしエサをベタ底に置いた姿勢か、それとも底を漂わせる姿勢にするか。いろいろと試さなければならない仕掛け姿勢は、全てオモリの使い分けにかかっている。ジンタンオモリG3くらいから1号くらいまで豊富にそろえておくことをお勧めする。
なお、オモリ各種は多少高くてもゴム張りが絶対にいい。種類を多くそろえるとなると、どうしても金額がかさみ、非ゴム張りにも目がいってしまうが、ゴムが施されていないオモリは、そのままでは必ずラインにダメージを与えてしまう。
さらには1回きりの使用で使い捨てになってしまうので、結果、効率もよくない。ゴム張りを歯でかみ付けたり、ペンチで圧着する釣り人も時折見かけるが、指先で軽く圧着するだけで問題なく固定できている。それに交換も容易だし、金属疲労を起こさない限り何度でも使用することが可能だ。
ダンゴ&さしエサ
つい先日、ある番組で運良く専門家の学者さんと対談する機会があり、かなり興味深い話を教えていただいた。なかでもエサやダンゴに関する話は、チヌ釣り師なら聞き逃すことができない重要な事項だった。
それらを少し紹介すると、チヌは視覚が弱く、換算すると0.07程度。いわゆるド近眼。ハリスなどはほぼ見えていないし、さしエサも同様のようだ。だが嗅覚は相当優れていて、水を張った25mプールに数滴の匂いのある液体を垂らしただけでも軽く嗅ぎ分けるらしい。となれば、濁りを過度にするより、嗅覚に強く刺激する匂いを優先すべきだろう。
さて、チヌが嗅覚で強く刺激を受けるのは、われわれ人間を含む全ての生物にとって切り離すことのできないアミノ酸が筆頭だとか。
アミノ酸は、われわれ素人にはあまりよく分からないが、二十数種類あってタンパク質の元になる成分。体内で合成できない必須アミノ酸と合成できる非必須アミノ酸に分類されるそうだが、今のところ、チヌにどのアミノ酸の効果が高いのかという絞り込みは厳しいとのこと。その点は残念だが、市販のカカリ釣り用ダンゴは酵母やウルトラバイト(発酵成分、フェロモン)は、やはり高い効果が期待できる。
私がカカリ釣りを始めた40年前は、さしエサといえばアケミ貝、春はボケ、秋は生きエビと相場が決まっていたが、アミノ酸の宝庫といえるオキアミ、サナギ、コーンの威力は絶大。近年の好釣果もうなづける。オキアミも生よりも、加工してアミノ酸が多く含まれるくわせオキアミは効果が高い。
参考のダンゴを挙げると、パワーダンゴチヌ1袋+大チヌスペシャルハイパー+速戦爆寄せダンゴ。これに状況を加味して生オキアミ3kgを全て加えて仕上げるが、水分が足りないと感じるなら海水を適宜。このブレンドは、水分が多少多くても割れのタイミングは取りやすい。
さしエサは、くわせオキアミを軸にボケ少々、エサ取り対策とまきエサも兼ねられる激荒が1袋あれば役立つ場面は多い。今春の鳥羽方面はカイズ(チンタ)も多く、小型から大型までターゲットになる。この他に生きエビも2~3杯あると面白い釣りが展開できそうだ。