<近藤 俊/サカナ研究所>
渓流エサ釣りの仕掛けを自作するときに、必須ともいえるアイテムが天井糸。あれば便利という域を超えて、もはやこれがなければ釣りにならないといっても過言ではない。今回はそのような天井糸の魅力に迫ってみようと思う。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)
天井糸とは?
天井糸(天上糸とも呼ばれる)は、延べ竿の穂先部と水中糸を接続するために使用するワンランク太いラインのこと。
細糸を多用する渓流釣りでは、さまざまな観点から多くのアングラーが使用している。各メーカーからさまざまなタイプが発売されているが、渓流釣りでよく使用される天井糸は以下の2種類だ。
ヨリ糸タイプ
渓流エサ釣りにおいて、主流ともいえるのがこのヨリ糸タイプ。
細いラインを3~4本組み合わせてヨリ糸にしてあり、視認性の観点から蛍光色のラインを使用しているものが多い。コシが強く糸癖がつきにくいうえ、ヨリ糸になっている分だけ強度や耐久性もある。
編み込みタイプ
鮎釣りでは一般的となっているのが、この編み込みタイプ。
渓流竿に多いズームタイプを使用する場合も、竿の長さに合わせて天井糸の長さを調節して、仕掛けの全長を変更することができるので、仕掛けを取り換えずに済むからだ。
自作して使用しているこだわり派も多いが、糸が二重になっている部分があるために、風の影響を受けやすく扱いにはやや慣れが必要となる。
天井糸を使用するメリット
では、なぜ天井糸を使用しないと釣りにならないのか。天井糸を使用するメリットを詳しく見ていこう。
糸絡み解消
渓流エサ釣りでは、0.1号~0.6号程度の極細糸を使用することが多い。この極細糸はとにかく絡みやすく、その極細さゆえに一度絡むとなかなか解けない。
その点、天井糸があれば穂先周辺の糸絡みを大幅に減らしてくれる。
また、木々の間に仕掛けを通したりすると、穂先周辺に蜘蛛の巣が絡みついてしまうこともあるが、天井糸に絡んだ蜘蛛の巣は、手で簡単に取ることが可能だ。
視認性アップ
天井糸は太めで、かつ蛍光色カラーのものが多い。
この蛍光色カラーは自然界には存在しない色合いなので、木々が生い茂る場所でも容易に視認できる。そのため、穂先周辺のトラブルに気がつきやすいだけでなく、釣り方によっては穂先に出るちょっとしたアタリ等も捉えることができる。
水中糸の節約
水中糸は1回の釣行で取り換えることが多いが、天井糸は丈夫なので複数回のつかい回しが可能だ。
また、水中糸を大量に消費する渓流エサ釣りにおいて、天井糸の長さの分だけ水中糸を節約できるというのも大きい。
さらに、編み込みタイプを使用したり、長さの違う複数の天上糸を用意しておけば、竿の長さが変わったりしたときでも1種類の仕掛けを流用できる。
天井糸を使用する際の仕掛け例
では、筆者の天井糸を使用した渓流エサ釣り通し仕掛けを詳しく解説していこう。
天井糸の長さ
基本的には好みだが、1m~2m程度までが扱いやすい。長すぎると水深があるエリアでは、目印をうえに上げられれなくなるので注意が必要だ。
筆者はヨリ糸タイプを使用しているので、3wayズーム用に、長さ違いの天上糸を3本程度用意している。
水中糸(道糸+ハリス)の長さ
天井糸の長さを考慮して水中糸を用意する必要がある。
延べ竿を持ち上げたときに、ちょうど竿尻周辺に針がくるくらいの長さのものがつかいやすいのでオススメだ。
計算式は、竿の長さー天井糸の長さ±20㎝程度が扱いやすい。
たとえば、竿の長さ4.5m―天井糸1.5m=水中糸は3m(±20㎝)となる。
この数値は実際に計測してもよいが、延べ竿を伸ばしながら仕掛けを自作するとよりミスが少ない。
水中糸の太さ
水中糸は、天井糸よりも数ランク細くするのが一般的。
筆者は1.2号のヨリ糸タイプの天上糸に、0.2号~0.4号の水中糸(ナイロン)を使用している。
渓流エサ釣り師必携のアイテム
海釣りではややマイナーな存在である天井糸も、渓流エサ釣りではごくごく一般的。
それゆえに、「なんとなく」使用している方もいるのだろうが、うまくつかえば仕掛けの長さを自由に調整できるうえに水中糸を節約でき、さらに糸絡みも解消してくれる、非常に便利なアイテムだ。
天井糸をつかいこなして、1ランク上の釣果を目指してみてはいかがだろうか。
<荻野祐樹/TSURINEWSライター>