秋が深まるにつれうるさかったエサ取りも次第に少なくなり、中型グレの数が釣れる秋磯シーズンが本番を迎える。フカセ釣り入門には最高のタイミングだ。今回この秋磯のグレシーズンの開幕に合わせ、フカセ釣りのグレをクローズアップした。解説はこの釣りを得意とする嶋津栄規さん。ぜひ参考にして挑戦してほしい。
①釣り場選び
秋磯シーズン初期となる10月は海水温も高い状態が続き、エサ取りや小型のグレが多く、30cmクラスを釣るのも厳しい状況が予測される。
そこでまず大切なのが釣り場選び。
近年では各エリアともに渡船店のホームページも充実し、ハイシーズンには毎日のように情報が更新され、状況がひと目で分かるようになっている。
しかし、初期はまだ釣り人も少ないので情報が乏しく、釣り場選択に困ることが多くなる。ベテランであれば過去の経験が生かせるが、ビギナーにとってはつらい状況だ。
そこでまず注目してほしいのは、黒潮本流の流れと海水温。
和歌山県下で考えると黒潮本流の影響を受けやすい南紀エリアに比べて、中紀エリアは海水温の下がりだしが早いので狙い目となる。中でもエサ取りや小型グレが多い状況を打開しやすい潮通しのいい磯を有する釣り場選びがベストだ。
速い流れとグレの遊泳力や捕食行動を最大限に利用することで、エサ取りをかわし本命のグレが狙いやすくなる。
②波気の有無
次に注目したいのが波気の有無。
特に台風による風雨の影響で大シケ後の波気が少し残るような状況が狙い目。
温度の高い海水に真水が混じることで海水温が下がり、適正な温度に近くなる。また波気により魚の食いがよくなり、それまでの小型主体の状況が一変して突然中型の数釣りとなることも珍しくない。
その他、最近では釣り人個人によりSNSを利用した情報がリアルタイムで発信され、簡単に情報を入手できるようになっているので、釣り場選びにも役立てるといいだろう。
③エサ取り対策
比較的簡単にグレが釣れる時期とは言いつつも、群がるエサ取りをかわして良型グレをヒットさせるには、状況に応じた釣り方や仕掛けが求められる。そこでまずは釣り方について考えてみたい。
一般的にこの時期有効とされる釣り方として、「遠投分離釣法」がある。
これはまきエサを足元と沖など数カ所に分けてまくことで、エサ取りを磯際周辺に足止めし、遊泳力のある良型のグレを沖へと集めて狙う方法。
青物系の小魚がエサ取りとなると、少し話は違ってくるが、この時期の和歌山県下ではオセンやチョウチョウウオが代表的なエサ取りとなり、これらはグレに比べて泳ぐのが遅い魚種だ。そのため、速い流れの中にはあまり入らない。
それに比べて遊泳力のあるグレは、速い流れの中でもまきエサを追って沖へと広範囲に泳ぎ回る。
より遊泳力のある良型になれば、さらにまきエサへの反応も早くなり、活性が高くなるに従って海面直下まで浮上し、まきエサを捕食する。言いかえるなら、エサ取りと本命の動きの差を最大限に利用した釣り方がこの時期有効となる。