釣り人のなかには、釣った魚を美味しく食べる事を目的としてる人は多いでしょう。せっかく釣ることが出来た魚ですので、鮮度を保ったまま持ち帰りたいものです。ここでは釣った魚の持ち帰り方と、魚の締め方、下処理方法などをご紹介します。
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血抜きは臭み取りに有効
締める作業が済んだら血抜きを行いましょう。魚の血液は、酸素が行き届かなくなると凝固して黒ずんだ色になります。そしてこの古くなった血液は、腐敗の原因にもなり魚の身をより早く劣化させ臭みの発生に繋がります。この血液をいち早く抜くことが鮮度を保つ秘訣でもあるので、血抜きが必要だといわれています。
一番簡単な方法は、エラの上側根元をナイフやハサミで切り取り、海水を入れたバケツやバッカンにつけてエラを持ちながらザブザブと振り血液を抜く方法です。背骨に沿って太い血管が通っているので尾びれ付近もカットするとより効果的です。
ポンプを使った血抜き
血抜きの方法も日々進化しており、さまざまな方法がありますが、現在「津本式」といわれる血抜き方法がメジャーになってきています。「津本式」とは、魚を締めた後に耐圧のホースや専用ポンプを使って血液を効率的に抜くテクニックのことをいいます。考案は宮崎在住の魚販売業をおこなう津本光弘氏。この手法を用いることで、魚を長期熟成することが出来る状態にします。
津本式血抜きの方法としては次のように行います。
脳締めを行い魚を締める→エラ付け根の大動脈を切断→尾を切り大動脈を露出させる→エラの大動脈部分に専用ポンプやホースを当てて動脈に水を流し圧力をかける→圧力にて尾の血管から血液が抜けていく。
この方法は究極の血抜きといわれ、処理をしている魚としていない魚とでは大きく食味が変わります。
血抜きをしない魚?
例外としてマゴチなど血抜きをしないほうが美味しいといわれている魚もいます。また、カツオやワラサは血を抜かないほうが味があって美味しいとの意見を聞くことも……。このあたりは好みの問題もかなりあるので、食べ比べてみるのもいいかと思います。とはいえ、日を置いて保存するなら生臭さも強くなる上、衛生面でもよくないので血抜きはしておいたほうがいいでしょう。
血抜きのマナー
血抜きは魚の鮮度を保つ効果的な方法ですが、釣り場で血抜きする際に気をつけないといけないことがあります。
船釣りの血抜き
船釣りの場合は、まず船体をナイフなどで傷つけないように注意してしなくてはいけません。血抜きをおこなっている最中は、血が船体に飛び散らないようにすることも必要です。汚してしまった場合は最後に綺麗に洗い流しましょう。また、釣り船によっては血抜きをした水を船外に流すと鮫が寄って来るなど、血抜きがそもそも禁止されている船もあるので事前に確認しましょう。
防波堤の血抜き
防波堤でバッカンやバケツを使って血抜きをした時は、魚の血が混じった海水を陸に捨ててはいけません。悪臭の原因になり釣り場を逆に汚すことになるので気をつけましょう。
こまめに血が混じった海水を海に捨てると、魚が警戒することがあるのでなるべく釣り終わりにまとめて行い、近隣の釣り人が少ない場所に捨てましょう。
神経締めもできれば行う
「神経締め」とは、血抜きをおこなった後にワイヤーなどの機具を使い、魚の背骨の上に沿って走っている脊髄を破壊する方法です。神経締めをすると、魚の死後硬直の時間を遅らせることができます。魚の鮮度が長持ちするので、できればおすすめする方法です。