ドライでもウェットでも使え、カゲロウ、トビケラ、カワゲラのニンフ、水棲甲虫や陸生昆虫までカバーできるザグ・バグとはなにか。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター浅暮三文)
ザグ・バグ
前回、カディスのピューパ(蛹)を紹介したので今回はカディス・ラーバ(幼虫)を取り上げます。トビケラ類は卵、幼虫から蛹、成虫へと変化します。カディ・ラーバは川底の砂利や枯れ葉で殻をつくる蓑虫のようなケースド・カディスといわれるものや、エサ釣りで重宝される裸ん坊になったクロカワムシなどがあります。
ザグ・バグとはザクの虫の意味でして、アメリカのクリフ・ザグさんが考案し、天が与えたフライと賞賛される毛鉤ですが、なにを模したか、あまりに曖昧模糊としてつかみようがありません。なにしろクロカワムシはアメリカに生息していないのです。このザグ・バグを私はカディス・ラーバに近いフライだと結論しています。
使いどころ
私はサグ・バグをあまり使いませんが知り合いは常用しており、それなりの効果を上げているようです。それを横目で見るに素材のピーコックが濡れるとクロカワムシそっくりになること。また巻いた形状がケースド・カディスに近いこと。そしてオモリをつけて沈めると、カディス・ラーバと似た様子になるからではないか。そう考えました。
似た様子とはケースド・カディスは殻に入り、川底の岩などにくっついていますが、エサを求めてモソモソと移動します。オモリを付けたザグ・バグは早く流されずにゆっくりと移動します。そこが似ているのではないでしょうか。使っている毛鉤の反応が今ひとつなら、いろんなフライを試すべきです。常用するかは別としてフライボックスに数本用意しておきましょうか。
巻き方
怠け者でずぼらな毛鉤釣り師の私はフライをできるだけ簡単に巻くのが信条です。従って今回のザグ・バグもいたって簡易なタイプです。本来はテールを付ける。ウィングケースを付けるなどしますが、私は省略。材料も黒のユニスレッド6番とピーコック、パートリッジ、鉤だけです。
それではタイイングです。今回の鉤はストレートシャンク(真っ直ぐなタイプ)でやや大きめの10番か12番がいいでしょう。いたって簡単。いたってシンプル。簡易版ザグ・バグの巻き方。
1. スレッドに下巻きした後、鉤のベント部分(お尻)にボディ材のピーコックを取り付けてスレッドを鉤の2/3まで戻す。
2. ボディ材のピーコックを鉤の2/3までグルグル巻きにしてクロカワムシの胴体の様にも、ケースド・カディスの殻(蓑虫の殻が近い)の様にも見えるように巻く。
3.レッグを作るためにパートリッジを鉤の2/3に止める
4.パートリッジをドライフライのハックルの様に二、三度巻く。
5.巻いたパートリッジを左右に分け、たすき掛けにする(八の字に掛ける)。するとケースド・カディスが殻から足を出しているか、クロカワムシの足のような表現になる。
6.レッグを巻き止めるとスレッドを厚く巻いてラーバが殻から顔を出しているか、クロカワムシの頭部のように仕上げていく。ヘッドを作って完成。