例年夏の終わりから秋が深まるのに合わせてヒートアップする釣りが、波止のタチウオ釣りだ。一昔前までは時合いとなる朝夕のマヅメを手返しのいい引き釣りやワインドで狙い、その前やその後を電気ウキ釣りで釣るのが主流だったが、ライトテンヤの出現で少々事情がかわってきている。今回は名手の釣行からライトテンヤを紐解いていきたい。
(アイキャッチ画像撮影:TSURINEWS編集部・中西)
ライトテンヤのタックル
ロッドは、専用品も出ているが選択肢は少ない。サオ先感度がよくバットパワーがあるものであれば、ほかの釣り用のロッドでも流用できるので、まずは手持ちのロッドで始めてみるのがいいだろう。エギングロッドやシーバス用のロッドが最適だ。
市橋さんのタックル
ロッド:SPRS-83H-T マイティハンツマン
リール:ステラ3000mhg
メインライン:PEライン0.8号
リーダー:フロロ12lb
先イト(ワイヤのかわり):ナイロン70lb
テンヤ:スパークテンヤ6、8、11g
アシストフック:スパークテンヤアシスト
テンヤの30~40cm上にケミホタル50をセット
エサ:ドジョウ
仕掛けのNGポイント
釣果に直結する道具に関してのNGは、やはりエサのドジョウのテンヤへのセット。ハリに対して曲がっていたりねじれていたりするとまっすぐ泳がないのはもちろん、キャストやアクション時にイト絡みの原因にもなるので注意しよう。
スパークテンヤ
市橋さんが使用しているテンヤは、アクアウェーブの「スパークテンヤ」。潮の流れに馴染ませやすいフラットヘッドタイプのテンヤで、フック位置を下げヘッドとエサの一体感が高められている。また、ヘッドサイズごとに重量バランスが最適化させており、水平気味のナチュラルアクションでタチウオを誘う。
ヘッド下部のスペシャルパーツはエサ巻きワイヤーを留めやすい形状で、生エサや専用ワームを美しくセットすることができる。操作性がよく、エサの固定も簡単できれい。まさにショアタチ・テンヤのファイナルアンサーと言えるテンヤである。
スパークテンヤアシスト
そして、フックには専用のアシストフック「スパークテンヤアシスト」を装着。しなやかで復元性の高いソフトワイヤーに、軽量の細軸ダブルフックを組み合わせたタチウオ専用アシストフック。可動域の広いフックポイントは、タチウオのショートバイトに対してまとわりつくようなフッキングが可能。
フックは掛かりを重視したテフロン加工。ソリッドラバーを組み込んだフックアイはキャストを繰り返しても回転ズレしにくくなっている。
開始10分で時合い突入
辺りが暗くなる前にエサのセットなどの準備を済ませ、小島養漁場の南西面の右角近くに釣り座を構えた市橋さん。午後7時に微かに残照がある海へ第1投をキャスト。ほどなくサオが曲がり、1匹目の指2本半級が登場した。開始からわずか10分の出来事であった。
そして、そのまま時合いに突入。最初こそ2~3匹釣れて少し時間が空いていたが、次第にインターバルは縮まり、30分後にはほぼ入れ食い状態に突入した。
基本の釣り方
ライトテンヤの基本の釣り方は、仕掛けが着水したらすぐにイトふけを回収。1、2度サオを煽ってテンヤをなじませたら、リールを3~4回巻いてはストップを2秒入れる「ストップ&ゴー」で表層を巻いてくるだけ。あとはそれぞれの時間や巻き数を変化させて、当日のタチウオの好みを探っていけばいい。
サオをシャクってテンヤをダートさせたりもできるが、これらはなかなか食わない時の「引き出し」であって、基本的には不要。
最大の肝は、表層を釣ること。仕掛けは沈めても1ヒロまで。当日は風の影響で波立っていたため遠くでは確認できなかったが、常にテンヤの上30~40cmの位置に付けたケミホタルの光を見ながら表層を釣るとのこと。
そして、アタリというより違和感が出たら即アワセでOK。スパークテンヤアシストが、タチウオのショートバイトに対してまとわりつくようなフッキングをしてくれる。
釣り方のNGポイント
釣り方のNGは、表層以外の層を釣ること。従来のドジョウの引き釣りではカウントダウンでタナを探るというのがあったが、これをやる必要はない。というよりこれをすると釣果は激減する。ついつい釣れないと中層やボトムの様子が気になってしまうが、しっかり表層狙いを実践してほしい。
そして、アワセが決まらなかった場合にすぐに回収してしまうのもNG。タチウオはエサに対してかなり貪欲なので、その場で軽くシャクってアピールすれば再度食ってくる。
また、釣っている最中のNG行為は、ヘッドランプなどで海面を照らすこと。投光器などで常時照らして魚を寄せるのであれば問題ないが、取り込みなどで海面をチラチラ照らすと警戒して食わなくなってしまうそうだ。周りの迷惑にもなるので、注意したい。