イカとタコは本当に海外では食べられないのか、日本や海外の消費量について調べてみました。
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海外では考えられない日本食文化
海外の人からすると、日本食は非常に美味しいと好評である一方で、中には食べることなんて考えられないほどの食文化も存在します。
縦えば、納豆がその最たる例で、「匂いからして食べるものではない」とはよく耳にします。それ以外にも、ぬか漬けや味噌、塩辛など発酵食品はあまり外国人の方々には評判がよくありません。日本人からすると、あの匂いが病みつきになるのに……と思うところではありますが、食文化の違いなのでしょうがないですね。
また、他にも日本人のほとんどの人が大好きなお刺身も「生食なんて考えられない!」と拒絶されることもあります。日本では人気度の高いイカやタコも、海外の方からは特に生食は考えられず、日本では当たり前のこの食文化も、全く受け入れられていないようです。
タコの漁獲量と消費量
まずはタコの日本での消費量を見ていきましょう。
タコの総漁獲量は世界でも30万トンほどで、そのうち日本は約3万トンを漁獲しています。そのうち、日本国内では毎年約3万7千トン前後のタコが収穫されており、加えて西アフリカのモーリタニアやモロッコ、中国などから輸入しています。
日本では毎年約6万トンが消費され、年間のタコの消費量は世界全体の約60%を占めるほど、タコは日本で非常に愛されていることが分かります。スーパーでも気軽に買えるタコは日本ではレシピや食べ方も多く、食卓には欠かせない存在となっています。
これほどにタコが充実している国は他に例がなく、世界的に見てもかなり珍しい食文化と言えるでしょう。
イカの漁獲量と消費量
では、次に同じ軟体動物のイカはどうなのでしょうか。
イカは世界での年間漁獲量が300万トンを超え、そのうち日本で消費されるのは約100万トン(30%)だと言われています。驚くことに実はこのイカの消費量も世界一なのです。
イカについてはスペイン、イタリア、ポルトガル、ギリシャなどでもおなじみの魚介類として親しまれており、タコに比べるとより多くの国で食材として認知されているため漁獲量にもここまで大きな差があると考えられています。
しかしながら、多くの国で食べられているイカも、生食する国はほとんどなく、お刺身が文化として根付いている日本だけの文化と言えます。
弥生時代からある食文化
ではこのイカやタコの食文化は、いつから始まったのでしょうか。
日本近海には数多くの種類のイカが生息し、良質な漁場も多かったことから、イカは古くから日本人の食材として親しまれて来たことが分かっています。
過去の文献をさかのぼってみると、出雲国(現在の島根県東部)の歴史や文物を記した地誌『出雲国風土記』には、海でとれる様々な産物の説明の中に、沙魚(さめ)・佐波(さば)・鮑(あわび)・螺(さざえ)などとならんで「烏賊」(いか)の名が記されています。
その他にも、平安時代に編纂された法令集『延喜式』には、朝廷への献上物として、鮑や鮭とともに烏賊の名が記されています。
これらのことから、今から1300年前にはイカを食べる文化は存在し、さらに言うと、高級な食材であったことが分かります。
次にタコの食文化についてですが、実はイカよりももっと古く、今から2000年以上前の弥生時代の遺跡からタコ壷と思われる土器が出土しています。このことから、タコを食す文化はかなり古くから根付いていたことが分かります。