魚の「赤身」と「白身」、実は色の鮮やかさで決まっているのではないということをご存知でしょうか。ややこしい例をあげつつ、説明してきましょう。
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「赤魚」「アカサバ」という究極の罠
これらの他にも、赤身なのか白身なのかがわかりにくいもの、また非常に紛らわしいものがあります。例えば「赤魚」。
これはカサゴの仲間で深海性のアコウダイ類の魚の総称です。現在では主にアメリカなどから輸入されたものをこの名称で呼びます。
深海のカサゴは赤いものが多く、とくにアコウダイの仲間はペンキを流したような真紅に輝くためこのように呼ばれるのですが、身そのものは純粋な白身です。
また「ハチビキ」という温かい海に生息する魚がいるのですが、関東では「アカサバ」と呼ばれています。その名の通り、サバのような紡錘形のシルエットで遊遊泳力も高く、更には身そのものも真っ赤。本家サバよりも赤みは強いと言えるでしょう。
しかし不思議なことにこのハチビキも白身魚のひとつ。色こそ赤いものの、食べてみるとタイやイサキに似た白身の味がします。知らない人に刺身を食べさせ、赤身か白身かと聞いてみたら、一発で当てることはまず無理でしょう。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>