食べて美味しいカニの中には「全身が毛まみれのもの」「脚の一部がヒレ状になっているもの」が知られていますが、今回紹介するアサヒガニは、「手がスパナーみたい」で「前後に動く」カニです。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
手の形が「ラッパー」?
梅雨に入るこの時期、鮮魚店の店頭で、どうにも目を引く一見変わった甲殻類を見かけることがあります。
関わらず真っ赤な色合いが非常に目立つその甲殻類は、パッと見はカニなのかなんなのかわからない見た目をしています。というのも、カニの胴体の後ろにそのままエビのしっぽがついたような見た目をしているのです。
そしてそれ以上にユニークなのが「ハサミの形」。まるで「Yeah」と言いながら両手を前に出したときのラッパーの手のような形をしているのです。
前後に動く「アサヒガニ」
このヘンな甲殻類は「アサヒガニ」という種です。生きているときからきれいな朱色なので、日の出の太陽の色に例えて「旭蟹」と名付けられました。
カニ(短尾下目)の一種とされていますが、あらゆるカニの中でももっとも原始的なもののひとつと考えられており、多くのカニで甲羅の内側に折りたたまれている腹部が、折りたたまれずに尾のように後方に突き出しています。
この形状のためか、アサヒガニは一般的なカニのように左右に動くのではなく、前後に動き、その様子は非常にコミカルです。
そして最大の特徴である、ラッパーの手のような鋏脚。ハサミというよりもスパナのような形になっており、それ故に英名も「Spanner Crab」となっています。