様々な見た目の品種が存在する金魚。でも元々自然界に存在していた種ではありません。今回は金魚のルーツを探ります。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
金魚って何種類いるの?
2022年現在、金魚の品種は100種類を超えていると言われ、日本でも20種類以上が飼育されています。
金魚と聞くと、金魚すくいで捕れる「和金」や「出目金」を想像しやすいと思いますが、その他にもヒレの長いものや、反対に背びれのないもの、模様が複雑なものなど、実は金魚は姿かたちが様々です。
こういった金魚たちがなんとなく、人間の手で品種改良されてきたのはわかりますが、いつどのような進化をしてきたのかはあまり知られていません。今回はそのルーツを見ていきましょう。
すべての始まりはフナ
100種類を超える品種のある金魚ですが、元をたどれば、原種に行きつきます。金魚の場合は、私たちのとても身近な存在である「フナ」だと言われています。
フナと言っても、近所にいるようなフナではなく、中国に生息する銀色の「ギベリオブナ」というフナの仲間であることが近年の研究でわかっています。
このギベリオブブナは普通はやや金色っぽい銀色をしていますが、ある時、この中に突然変異で赤い色素を持ったものがあらわれます。このように赤い色素をもったフナ同士を掛け合わされて生まれたのが現在の「ヒブナ」に当たります。
そしてさらにこのヒブナを、細長いシルエットにしたものが現在の「和金」だと考えられています。
金魚を見ても、フナの面影など感じることはほとんどありませんが、よくよく調べてみると、このようなルーツがある事には驚きですね。
どうやって色がついたのか
では、なぜ突然赤い色素持った個体が生まれるのか。
皆さん一度は、「遺伝子」という言葉は聞いたことがありますね。遺伝子というのは、親の特徴を子に伝えるための因子、物質だと思ってください。
遺伝子には「親はこういう特徴だった」という情報が書き込まれており、それが子どもに伝えられます。
単純に言ってしまえば、赤い体の親からは赤い体の子が生まれやすくなりますが、この遺伝は非常に複雑なのでそう単純にことは進まないこともあります。
2つの遺伝子
遺伝子というのは、その生物の体に同じものが2つ存在します。遺伝子のうち、1つは父親から、1つは母親からもらう仕組みになっているからです。
金魚にだけではなく、私たち人間も同じで、どの遺伝子も同じものが2つあります。そして、遺伝子同士の間には「優性」「劣性」の2つのタイプがあります。
赤ちゃんを見てよく、「大きな目はお父さん似、高い鼻はお母さん似だね」なんて会話をしますよね。この場合、目は父親の遺伝子が優勢、鼻は母親の遺伝子が優勢だったとなります。このように、どのパーツにもそれぞれの2つの遺伝子がありますが、両方が表に出てるわけではなく、親のどちらかの要素しか現れません。
※遺伝子の仕組みは非常に難しいため、かいつまんで説明していることはご理解ください。
突然変異
先にもお話ししたように、現在の金魚は、色や姿の違いで品種に分けられていますが、先祖はすべてフナです。美しい色、姿をしているフナをより分け、交配させることで金魚を作り出してきました。
例えば、黒い金魚がいますが、黒い金魚は赤い金魚からの突然変異です。赤い金魚同士を掛け合わせてたはずなのに、その中に突然1匹だけ黒い個体が現れたりします。突然変異というのは非常に低確率で起こる、遺伝子の変化です。
このように急に現れる他とは違った要素を固定していくことで、品種が増えているのです。