ヒトだけじゃなくサカナもお酒が好き!?ビールの残りカスで育ったブリに、酒粕で美味しくなるサバ。養殖界で注目される「酒造廃棄物」について紹介します。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
「ビール醸造の廃棄物」でブリを育てる
リアス式海岸が発達し、入り江が多く養殖漁業が盛んな大分県佐伯市。そこで養殖されているとある「ブリ」にいま注目が集まっています。
そのブリの特徴は「餌にビール醸造の廃棄物を使用している」こと。養殖に用いる飼料に、ビールを醸造する際に廃棄物として発生する「麦芽の絞りカス」を混ぜているのだそうです。
このブリは現在、西日本各地の飲食店に出荷され、好評を博しているといいます。(『【SDGs】「ハマチにビール」で美味しくなる? 大分・佐伯市』テレビ大分 2022.2.23)
ビールの絞りカスの効能
ビール醸造は「糖分を豊富に含む麦芽を水やホップと混ぜ、ビール酵母によって発酵させ、絞って濾過する」といった工程で行われます。そのため醸造後、大量の麦芽の絞りカスが発生します。
これはいわゆる「ビール酵母サプリメント」として市販もされる一方で、大量に発生するために加工が追いつかず、廃棄物として処理されてしまうものも多いといいます。
しかしこの絞りカスには、ビール酵母が生成する大量の必須アミノ酸やタンパク質などが含まれており、活用する道も多々あります。ブリの養殖においては、ビール酵母を飼料に混ぜ込むことで、筋肉中の旨味成分イノシン酸が豊富になるというメリットがあるそうです。