特徴的な見た目で一度見ると忘れないマトウダイ。その名前にはいくつかの由来があると言われています。
(アイキャッチ画像提供:茸本朗)
冬に美味しいマトウダイ
真冬の入り口である1月に旬を迎える魚で「マトウダイ」というものがいます。
彼らの特徴はその大きな頭。その大部分は伸縮性の高い口(吻と下あご)で、これを大きく伸ばし、生きた小魚を丸呑みにする獰猛なフィッシュイーターです。
マトウダイはスーパーマーケットにしょっちゅう並ぶと行った食材ではなく、一般的知名度はさほど高くありませんが、流通の世界ではなくてはならない存在です。特にムニエルやポワレといったフレンチの材料としては非常に優秀で、プロのシェフが盛んに買い求めます。
そんなマトウダイですが、実は身の味自体は一年を通してさほど変わりません。それでも真冬が旬と呼ばれる理由は、身ではなく「肝」が大きくなるから。彼らは身に脂がそれほど乗らず、肝臓に栄養をためて冬を越すので、冬に肝臓が美味しくなるのです。
実はタラに近いグループ
マトウダイは大きな口や長く伸びた背びれなど、他の魚にはない特徴的な形態を持っています。そのため「マトウダイ目」という独立したグループに分類されており、マトウダイとシルエットがほとんど同じであるカガミダイなど、30余りの種が確認されています。
そんな彼らですが、近年の遺伝学研究に基づく新たな分類によって、タラ目と非常に近い関係にあることがわかっているそうです。基本的に細長い体型をしたタラ類と、偏平でずんぐりしたマトウダイが近い仲間と言われると違和感を持つ人は多いかもしれません。
しかしどちらも深海性の種が多いことや、さっぱりして水分の多い身質、脂肪が多く肥大した肝臓など、言われてみると共通点も多々あるようにも思えます。