縁起物の食材の代表と言えば「マダイ」でしょう。どうして鯛はめでたいものと言われているのでしょうか。調べてみました。
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めでたい魚代表「鯛」
年末年始のこの時期、食卓は縁起のいいものが並ぶ機会も多いと思いますが、なかでも、その機会が一番多いのは「鯛」ではないでしょうか。
おせちに限らず入学や卒業、就職など節目の時期に、縁起物とされる鯛を見かけるタイミングは、これから春に向けて多くなることでしょう。
鯛といえば恵比寿様が掲げていたり、お祝いごとで食卓にのぼったりと、昔から縁起物として重宝されています。
でもなぜ、鯛は縁起がよいといわれているのでしょうか?
「紅白」がめでたい
ご存じのとおり、鯛の体の色は「赤」です。
水引などにも見られるように、日本人にとって赤と白の組み合わせは縁起のよい色の代表です。
国旗の赤と白にはじまり、紅白幕やかまぼこも赤と白を使ったりします。
鯛もまさに赤と白の組み合わせであることから、華やかなイメージがもたれています。
真鯛が赤い理由
鯛の中でも、祝いの席によく出てくるのは「真鯛」ですが、そこで根本的な疑問が浮かびます。どうして真鯛は赤いのでしょうか。
これには大きく二つの理由があると考えれれています。
エビを食べるから
まず第一に真鯛はエビを好んで食べるということ。鯛は、瞬発力はありますが持久力がないサカナのため、素早く動く小魚の捕食などは苦手です。そのため、エビやムシなどを海底付近で好んで食べます。
エビの中には「アスタキサンチン」という物質が含まれています。この「アスタキサンチン」が体表に蓄積されて赤くなると、言われています。
身を守るため
そして第二の理由が鯛が好んで生息する水深エリアは深い場で、太陽光の中の赤い光は波長が長く吸収されるので、赤が黒く見えるからことで外敵から身を守っているというものです。
どちらの説も有力で、ともに因果関係があるとも言われています。体表を赤くしたい→エビを好んで食べるようになった。これが本当なら昔の真鯛は非常に頭が良いサカナだったのかもしれませんね。
鯛は別格
頭から尾まで、丸ごと出される姿焼きのことを、昔からまたの名で「目出鯛」(めでたい)と呼ばれていました。いたって単純な理由ですが「おめでたい」と「たい」の語呂合わせと、目の前の食卓に「めでたい」ものが皿に盛られることで、お祝いの宴席にふさわしい縁起ものとされていきました。
また、高級魚である鯛は、さまざまなことわざにも登場します。
例えば、「腐っても鯛」や「海老で鯛を釣る」などといったことわざは、鯛が他のサカナと比べて別格であることで示しているようにも感じますね。