大阪湾は例年秋に回遊魚のトップシーズンを迎えるが、今年の秋は釣果に偏りがあり異変がささやかれている。今回は、神戸港東エリアの第7防波堤の様子をレポートしたい。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター伴野慶幸)
夜明けに良型アジ
空が徐々に明るくなり朝マヅメを迎えると、沖向きに居並ぶルアーマン達が本気モードに突入。シュッ、シュッと、キャスティングの空気を切る音が静寂を掻き切るかのように次々と聞こえてくる。すると一人のルアーマンがロッドを曲げた。
ゴリ巻きで引き抜いたのは丸々と太った魚体の大サバだった。ルアーマンはしてやったりといった表情で手際よく獲物をしめて、時合いを逃すまいと戦線に復帰する。
一方、私を含む内向きの3人はサオ下サビキに集中する。打ち返しを繰り返す中で、サバに悩まされながらも、隣の先客が「きたでえ。アジや」と声をあげた。そろりと抜き上げたのはデカアジ。灯台周りにデカアジが回っていると判り、私も一段と気合いが入る。
しばらく経ってから、私のサオにもググッと強い引きが伝わった。横走りではなく底に突っ込もうとする強い手応えを逃すまいと、慎重にリールを巻きあげると、待望のデカアジがお目見え。ペットボトルを超えるグッドサイズのデカアジは即しめてクーラーの中へ。デカアジはハゼコを付けたハリに食いついていて、私のタックルと釣り方は正しかったと確信できた。
デカアジを追釣
当日は内湾の波止には青物の回遊がほとんどなかったようで、7時前ごろには、沖向きのルアーマン達は早くも終戦モード。私も片手間に豆アジやウルメイワシをエサにノマセ釣りを試してみるが不発。再びサオ下サビキに集中する。
隣の二人は7防に通い詰めているベテランのようで、「先週は東の●●のあたりで、アジが結構上がっとったで」と教えてくれたその場所は、松村船長が出船前に教えてくれたピンポイントとほぼ同じ場所だと確認できた。
ベテラン師たちは私が刺しエサに使っているハゼコにも注目し、私がその効果を話すと「へえ、そんなの売ってるんや」と興味津々。釣行で得られるものはその日の釣果だけではなく、こうした現地の釣り人たちや釣りに携わる人々との語らいの中から得られる情報も収穫の一つだと改めて実感した。
そうこうしていると8時過ぎに、デカアジのプチ時合いが到来。私が抜き上げに失敗すると、ベテラン師が1匹、その後私にも1匹とデカアジを追釣し、ほぼ同時にお互い1匹ずつのタイミングもあるなど、お互いのまきエサが効いて格好の共闘状態の形となった。
最終釣果
当日は若潮で4時過ぎから下げ潮と、早朝の時合いが過ぎれば魚信は遠のいていく。9時過ぎから3軒の渡船店が入れかわりで迎えにきて、ここが潮時と釣り人は次々と波止を後にする。
めぼしい釣果が得られなかった釣り人も多かった中で、東のカーブ付近まで足を運んだ釣り人がサオ頭となった。クーラーの蓋が閉まらないほどの堂々のメジロを抱えて船に乗り込む姿に、周りの釣り人達は一斉に羨望の眼差しを送る。
楽しい時間を共に過ごさせてくれたベテラン師二人も先に納竿して迎えの便を待っていたが、そこに私が少ないアタリを捉えてデカアジを追釣したのを見て、「まだアジおったんやな」と声をかけてくれた。これを機に私も納竿。
最終釣果はデカアジ4匹、ウルメイワシ多数と、目立った釣果ではなかったが、夜のおそうざい程度にはなったと納得して、10時30分の迎えの便で波止を後にした。帰路の途中で松村渡船のホームページを見ると、やはり最沖の波止で青物の釣果があがっていた。
帰宅後、釣果は夕食の食卓の一角を飾り、小さくとも新鮮な魚ならではの食味は家族にも大好評だった。
<伴野慶幸/TSURINEWSライター>