秋イカエギングでのメインターゲットである「アオリイカ」。実は意外と知らない面白い生態を持っているようです。
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食べる前に触る
アオリイカの捕食行動は独特で、長い触腕を使ってエサを抱きかかえ、足で動きを止めてから付け根にあるクチバシのような口でかじります。興味を持ったものには上部後方から近づくこと、かじる位置はほとんどが首の付け根あたりである点も特徴です。
エギの頭下がりな姿勢は、このアオリイカの位置取りに対して、うまく針であるカンナ側から食わせるためです。
エサに興味を持った時に行う捕食の前動作も非常に特徴的で、長い触腕で対象をバシッと叩くような行動をとります。釣りの世界では通称「イカパンチ」と呼ばれている行動で、何度かパンチした後、食べられると判断すると抱きかかえる行動に移るケースが多いです。
エギングでは「イカパンチ」を掛けて腕一本で上がってきたり、待ちすぎて離されたエギがかじられていたり、この独特な捕食が釣り方に大きくかかわる重要な要素になっています。
生きているサカナが大好き
アオリイカの餌は甲殻類と小魚で、特にアジやイワシを好む傾向があります。
非常に目がよく動くものに興味を示す性質がありますが、冷凍のアジで釣れることもあり、わずかな揺れや匂いなども感知しながら、食べられるものを判別しているようです。
エギは人間の目から見ると魚よりもエビに見えますが、アオリイカが普段食べているエサの割合は圧倒的に小魚が多く、いかにエギを小魚のように見せて興味を持たせられるかがエギングのポイントになるでしょう。
小さいイカや海に優しく
秋の今の時期、エギングで簡単に釣ることが出来るアオリイカですが、食べないのであれば、優しくリリースしてあげましょう。なるべく海面に近い低い位置でハリを外してあげたり、水から出さずにハリを外してあげるなどです。
このちょっとしたイカへの気遣いが今後の釣果を大きく左右する可能性があることを忘れてはいけません。
また、ルアーであるエギをロストすると大きな魚が誤って食べてしまったり、微生物の分解できない海洋ゴミとなって海洋汚染にも繋がってしまいます。根掛かりした際はむやみやたらに引っ張るのではなく、適切な対応をしてなるべく海をきれいに保つようにしましょう。
釣り人として海を守ること、海の生き物を必要以上に傷つけないことが非常に大事です。
<近藤 俊/サカナ研究所>