釣り人的「食品ロス」削減レシピ 大衆魚代表アジで作る『生ハム』

釣り人的「食品ロス」削減レシピ 大衆魚代表アジで作る『生ハム』

アジといえば刺身やフライ、南蛮漬けが定番料理だが、どれもあまり日持ちがしない。今回はおいしくて日持ちもする「アジの生ハム」の作り方を紹介しよう。

(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター福岡崇史)

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福岡崇史

1985年生まれの会社員。釣り好きが高じて大学・大学院で生物地理を研究。アジングやライトゲームが得意。

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その他 レシピ

釣ったアジの食べ方

夏が終わりを迎える頃からアジのサイズが少しずつ大きくなり、豆アジから小アジ、そして中アジ、大アジとどんどん大きくなっていく。

豆アジや小アジの定番料理と言えば骨まで食べることができる南蛮漬けや唐揚げ、大きくなったアジでは定番の塩焼きやお刺し身、なめろうで食べることが多いと思われる。

南蛮漬けなどは2~3日南蛮液を染み込ませて日によって味の変化を楽しむことができるが、刺し身やなめろうだと日持ちがしない。

アジの生ハム

いっぱい釣れた時などは半分南蛮漬け、半分刺し身など分けることもできるが、同じ料理ばかりだと飽きてきませんか?そんなアジの日持ちを少し延ばしてかつ南蛮漬けのように日々変化する味を楽しめる調理法として、アジの生ハムを提案したい。

お刺し身やなめろうを作ることに比べれば少し手間な部分があるが、料理の応用も効くので是非試して頂きたい。

浸透圧脱水シート

まず、魚の生ハムを作る上で欠かせないものを紹介したい。それが浸透圧脱水シートの存在だ。このシートを使わなくともキッチンペーパーでも代用できるが、このシートを使えば手間なく脱水ができるので非常に簡単にできるのだ。

数年前から釣具店のレジ前などで見かけることが時折あり、その頃から売っている度に買っては生ハムを作っていた。構造はパッケージに詳細が記載されているので割愛するが、要は余計な水分や嫌な臭いの分子を吸着してうまみだけを残すというシートだ。

釣り人的「食品ロス」削減レシピ 大衆魚代表アジで作る『生ハム』ピチットシート(提供:TSURINEWSライター福岡崇史)

アジの生ハム調理手順

では、アジの生ハムの調理手順を紹介する。

1、アジを三枚におろす

まず、生ハムを作る時のアジのさばき方は基本の三枚におろす方法でOK。私の場合、大名おろしで3枚におろしてしまい、腹骨をすきとって、大きめのピンセットで血合いの周りの小骨を抜いていく。基本的には刺し身にする要領と同じで構わない。

どれくらいの大きさのアジが生ハムに最適かというと、おおよそ可食部で15cm程度あればいい。全長20cm前後のアジが生ハムに最適と考えている。これよりも大きいサイズや小さいものでも作れるが、脱水シートに交互に並べる時の大きさでみると20cm前後のアジがオススメである。

注意点として、おろすときに必ず当たる骨は全て抜くことと、お腹のまわりの白い薄い膜は必ず取り除いておこう。またゼイゴは皮を剥ぐ時に同時に取れるので、わざわざゼイゴを包丁で取らなくてもいいことを付け加えておく。

釣り人的「食品ロス」削減レシピ 大衆魚代表アジで作る『生ハム』三枚におろしたアジ(提供:TSURINEWSライター福岡崇史)

2、余計な水分を抜く

(1)の工程はアジの刺し身やなめろうを作る時と同じであるが、ここからが生ハムの本番。捌いたアジの身全体に塩を打っていく。この時の塩は水分とある程度の臭みをとることを目的としているので、全体に満遍なく塩をしていく。

最終的に洗い流してしまう塩なのでどのような塩でもいいが、アジの身半分あたり小さじ1~2杯程度の塩を打っていく。

塩をしたアジの身をタッパーなど蓋つきの容器に入れて、冷蔵庫に入れて寝かせる。寝かせる時間はおおよそ30分~1時間程度でいい。筆者の場合、ここまでの作業をしてお風呂に入って入浴後に最終作業まで行う。

冷蔵庫から取り出したアジの塩分を抜く時に、タッパーの中に日本酒を浸るくらいまで注ぎこむ。日本酒は料理酒や水でも構わないが、より旨味を入れたいという思いで日本酒にしている。

注いで2~3分程度置いて、蓋をしてガシガシとシェイクする。この時に身の汚れも同時にとれるように少し激しめでも構わない。

釣り人的「食品ロス」削減レシピ 大衆魚代表アジで作る『生ハム』塩を酒で洗い流す(提供:TSURINEWSライター福岡崇史)

3、味付け

お酒で洗ったアジの身をキッチンペーパーにとって軽く水分を拭き取る。ここからが味付けの本番となる。

味付けの塩は保存のことも考えて可食部15cmの場合、両面合わせて小さじ1/2程度を基準に考えてもらえればいい。

釣り人的「食品ロス」削減レシピ 大衆魚代表アジで作る『生ハム』ハーブ入りソルトで味付け(提供:TSURINEWSライター福岡崇史)

肉類の生ハムでは塩のみで味付けされていることが多いが、魚の場合いくら脱水シートの効果で嫌な臭い成分を吸着できるとはいえ独特の風味が敬遠されることもある。アジの生ハムの場合は塩+ハーブが入ったマジックソルトや、最近のBBQで話題の「ほりにし」などのスパイスをミックスして使用している。

釣り人的「食品ロス」削減レシピ 大衆魚代表アジで作る『生ハム』塩を振った状態(提供:TSURINEWSライター福岡崇史)

4、ピチッとシートに挟む

シートの構造は前述のとおり、余計な水分と臭み成分を取り除きうまみ成分を取り残すというまさにいいとこ取りができるものであるが、構造上シートに長く置きすぎると乾燥しすぎることもあるので要注意だ。

また、注意点として2つあげたい。1つは水を含んだシートは取り換える必要があるということ。おおよそ1回のアジの生ハムを作る時で2回~3回が目安と考えて貰えればよい。

筆者の場合、味付けをして1回目の挟み込みから24時間で1回、そこから更に24時間で1回、もう少し水分を抜きたいと思うときで24時間後にもう1回くらいのイメージである。乾燥具合により食べ方の楽しみ方もことなるのでいろいろ試して頂きたい。

2つ目に挟む際は食品トレーやバットなど平らな容器の上で並べて身同士を重ね合わさないことである。おおよそ写真のシート1枚で2匹分(片身4つ分)くらいが丁度くらいで、冷蔵庫に入れる時にシートの上に重しをすると密着して綺麗に作ることができる。

釣り人的「食品ロス」削減レシピ 大衆魚代表アジで作る『生ハム』ピチットシートにくるんで冷蔵庫へ(提供:TSURINEWSライター福岡崇史)

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