ハゼのミャク釣りステップアップ解説:「ミチイトの素材」を比較検証

ハゼのミャク釣りステップアップ解説:「ミチイトの素材」を比較検証

いよいよハゼが盛期を迎えるということで、今回はノベザオを使ったミャク釣りのミチイトの素材を、比較検証してみた。釣りスタイルに合った選択で釣果アップが望めるかも?

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(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター牧野博)

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牧野博

初めて投げ竿を持ったのはもう50年近く前、関東で就職してからクラブに入会し、投げ釣りの面白さに魅了されました。根掛かりの多い砂地の磯場や河口内でわざわざ引き釣りをするという特異な習性があるほか、秋にはヘラ竿を持って汽水域を徘徊することもあるようです。

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モノフィラメントイト3種比較結果

ハゼのミャク釣りステップアップ解説:「ミチイトの素材」を比較検証モノフィラメント3種の比較結果(作図:TSURINEWSライター牧野博)

テストは最初にフロロカーボン、次いでナイロン、ポリエステルの順で20分間実施。全体の結果を見ると、この3種のイトはいずれもハゼのミャク釣りのミチイトとして使える。

フロロカーボンとナイロンの所感

フロロカーボンは、私が最も使い慣れていることもあり、ハゼの匹数も最も多くなったが、ナイロンも一定時間内の匹数ではほぼ互角といえる。ただ、フロロカーボンに比べ、伸びがあるのでオモリで底をさびくときに若干操作性が悪く感じられた。小石やカケアガリなどを捉える感度もフロロカーボンの方がいい。

ただ、ナイロンは伸びがあるためか、アワセのタイミングでは、フロロに比べ許容範囲が広い感じがする。この点はナイロンのメリットといえるだろう。普段フロロカーボンを使用しているが、魚信をすべて釣果に結び付けることができていない部分がある。このあたりは、感度や操作性と、ハリ掛かりのよさのどちらに重点を置くか、悩ましい部分であると思う。

ポリエステルの所感

ポリエステルは、他の2種のイトと比べかなり匹数は少なくなったが、これは上げ潮により釣り座が後退し、打ち込めるポイントがかわったことも考慮に入れる必要がある。

また、2回のライントラブルも影響している。ナイロンやフロロカーボンに比べ、伸びも小さく、なおかつ張りの強いイトなので、使いこなすには少し慣れが必要である。その反面、硬いイトであるため、魚信やハリ掛かりした時の魚の引きは最も鋭敏に感じられた。うまく使いこなしていけば、アタリ感度重視で即アワセで釣るタイプのアングラーにとっては、よさが発揮されるのではないかと思った。ハリスと共通化できるのもメリットである。

なお、フロロカーボン、ナイロン、ポリエステルいずれも、穂先リリアンへの結び(ぶしょう付け)では全く問題なく使用でき、途中で外れることも皆無だった。

フロロとPEラインの比較結果

続いて、モノフィラメント3種類のラインの中で、最も釣果のよかったフロロカーボンを、PEラインと実釣で比較してみることとした。

ハゼのミャク釣りステップアップ解説:「ミチイトの素材」を比較検証フロロとPEラインの比較結果(提供:TSURINEWSライター牧野博)

※ポイントを南海鉄橋下流側の護岸に移して実施(上げ潮による)。

PEラインの特性

ここ十数年でPEラインはさまざまな釣りのジャンルでかなりポピュラーなイトになった。先日釣りイトメーカーのHPを見ていたら、チヌやグレのフカセ釣りのミチイトにもラインナップされていて驚いた。イトを製造する技術が飛躍的に進歩しているからだと思う。

投げ釣りは他のジャンルと比べ、アングラーとエサを食う魚の距離が著しく遠く、そこでキスなどの比較的小型の魚の情報をキャッチするのだから、伸びが極く少なく、魚信を捉えやすいPEラインがその特性を存分に発揮できる分野だったといえる。ただ編みイト(マルチフィラメント)のためにイトに張りが少なく、リールを使う釣りではライントラブルが起きやすいのも事実である。

ただ、ハゼのミャク釣りは通常リールなしのノベザオの釣りだ。したがって投入時のライントラブルの問題さえクリアできれば、フロロカーボンなどのモノフィラメントのイトに比べ、魚信がはるかにシャープに出て、底の変化(起伏や小石など)も手に取るように分かるはずだ。素材の種類や要求される性能は違うが、アユ釣りではかなり以前からメタルラインがよく使われているのもヒントになった。

結果を分析

今回の実釣テストで、フロロカーボンとPEラインの比較を行ったところ、まさに予想通りの結果となった。

同じ場所で、同じ実釣時間の条件で、PEラインがフロロカーボンに匹数では大差をつけた。PEラインの場合、サオのアクションでオモリを操作する時、底の小さな起伏や小石までがシャープに手元に情報として伝わる。

また、ハゼの匹数ではフロロカーボンを大きく上回ったが、この中にはデキハゼも混じっていたことから、魚のアタリ感度という点では、イトの伸びが極小のPEラインのメリットをはっきりと実感することができた。仕掛けのハリはジャストキスの8号と大きめなので、そのことを考えると食い込みも悪くなかったといえる。

投入時にミチイトがトラブルを起こすこともなく、ミャク釣りのミチイトとしても充分使用できるし、逆に少しでも多くアタリを捉えたい場合にはPEミチイトの使用を覚えておいて損はない。

PEライン使用の注意点

ただ、フロロカーボンと比べイトの比重が小さいので、投入後の仕掛けのなじみは少し遅い、イトの伸びが小さくサオのアクションがよりダイレクトにオモリに伝わるため、オモリが手前に寄ってくるのが速い。風や潮の影響を受けやすいといった傾向が見られた。イト自体はしなやかなので風の強い日などは若干ライントラブルが出るかもしれない。またシモリや障害物へのこすれは避けなければならない。

仕掛けのセッティングでは、PEラインの表面の摩擦係数が低いために、穂先リリアンへのぶしょう付けがうまくいくか、実釣中に抜けないかが懸念されたが、全く問題はなかった。ただ、イトがしなやかなので、チチワを作る時には、ゆっくり慎重に行う必要がある。

ハゼのミャク釣りステップアップ解説:「ミチイトの素材」を比較検証チチワ作りはゆっくり慎重に(提供:TSURINEWSライター牧野博)

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