日本の全海域で遊漁によるクロマグロ採捕を禁止する措置が発動された。これにより、22年5月31日までの期間、大型魚も含むすべてのクロマグロの採捕が禁止される。
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クロマグロ遊漁禁止に
先日、各海域の広域漁業調整委員会指示に基づき、日本の全海域で遊漁によるクロマグロ採捕を禁止する措置が発動された。これにより、21年8月21日から22年5月31日までの期間、大型魚も含むすべてのクロマグロの採捕が禁止されることとなった。
指導に従わないなどの悪質な違反者に対しては、農林水産大臣が指示に従うよう命令(裏付け命令)をし、その命令に従わなかった場合、罰則(1年以下の懲役、50万円以下の罰金等)が適用される。(漁業法第191条)
クロマグロ規制の歴史
クロマグロについては、日本が加盟する中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)が15年から資源保護の観点で各国・地域に対して漁獲量規制を導入しており、これを受け漁業者に対しては厳しい規制が行われてきた。
一方、これまで緩やかな協力要請がされていた遊漁に関しては、21年6月からクロマグロ小型魚(30kg未満)の採捕が禁止になったのに続いての禁止措置で、今期の4分の1に満たない期間での打ち止めに遊漁者からは不満の声も上がっているとのこと。
今回の規制の背景
規制の背景を水産庁の担当者にヒアリングしたところ、今期、遊漁に充当可能な漁獲量は20t程度を想定しており、これは前年の遊漁船へのアンケートなどを元に設定された数字だそう。ちなみに、昨年は10.2tほどの漁獲があったと報告されたそうで、これにプレジャーボートでの漁獲を加味したのが、この20tという数字だ。
しかし、6月1日からスタートした漁獲報告によると、開始から2週間程度で昨年1年分に迫る勢いの漁獲量が出てしまったそうだ。これを受け特に報告の多かった日本海側を対象に自粛要請を出したがとどまらず、遊漁者による大型のクロマグロの採捕を禁止することになる旨の広域漁業調整委員会指示が発出されるに至った。
今回の規制の期間の理由
この禁止措置は今年度の管理期間が終わる22年5月31日まで。
開始からわずか3カ月で禁漁となった今年の経験を踏まえ、遊漁者から上がっている「一人キープ1匹」、「漁獲枠を時季、期間、地域ごとに割り振る」などの声も考慮し、来年度の準備を進めているとのこと。
来年度の釣りに期待したい。
<中西/TSURINEWS編集部>