春の旬「ホタルイカ」の不思議な生態 仲間と会話をするために発光?

春の旬「ホタルイカ」の不思議な生態 仲間と会話をするために発光?

春の味覚の一つ「ホタルイカ」。光ることは有名ですが、その理由を知っていますか?ちょっと変わった生態に迫ります。

(アイキャッチ画像提供:Pixabay)

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サカナ研究所 その他

 

富山湾に集まる理由

富山湾で毎年3月~5月頃を中心に、ホタルイカの集群が見られるのは、富山湾のすり鉢のような地形と海流の関係(すり鉢状の底から上に向かって流れる湧昇流)で岸近くまで押されるためと考えられています。

国の天然記念物に指定されているこのホタルイカの光はまさしく宝石のようだと言われています。

ホタルイカの寿命はほぼ1年で、孵化するまでに必要な時間は富山湾の場合だいたい2週間程度です。

その後成長をつづけ、翌年2月頃には交接シーズンを迎え、再び4~5月頃に産卵し、その一生を終えると考えられています。

しかも、富山湾にやって来るホタルイカのうち、そのほとんどが腹に卵をもった雌で、雄は数千尾に1尾しかいないといいます。

雄は雌よりやせ形で華奢、交接を済ませると雌よりも早く死んでしまうのです。

なんとも切ない話ですがこれも自然の摂理……私たちは見守る事しかできません。

ホタルイカは美味

ホタルイカと言えば、春を代表する味覚の一つです。

ホタルイカは鮮度が落ちるのが早く、しかも内臓に寄生虫がいる場合があるため、刺身が流通することは少ないですが、水揚げされる現地では、内臓を除いて刺身にしたり、足だけを刺身にした竜宮そうめんという料理で楽しむこともできます。

春の旬「ホタルイカ」の不思議な生態 仲間と会話をするために発光?酢味噌と和えても美味(提供:PhotoAC)

また、この時期になると、海に住む大型のサカナもホタルイカを求めて浅瀬までやって来るため簡単に釣れることが出来るのだとか。

ホタルイカが美味しいということは人間よりもサカナの方が詳しいかもしれませんね。

ホタルイカの身投げ

産卵のためにやってきたホタルイカが、潮の満ち引きによって沖に戻れなくなり、波打ち際にたくさん打ち上げられていることがあり、これを地元では「ホタルイカの身投げ」と呼んで春の風物詩になっています。

今まさにホタルイカが接岸しているシーズン真っ盛り。海にきらめく青い光を楽しみつつ、最高に美味しいホタルイカを是非この機会にご賞味ください。

<近藤 俊/サカナ研究所>