いよいよ渓流釣りが解禁する。ということで、ここでは入門者に役立つ渓流釣りの基本を解説する。ぜひ参考に、ミャク釣りで渓魚を狙おう。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース西部版APC・津曲隼丞)
渓流釣りが解禁
立春をすぎると、寒さの中にも春の兆しが感じられるころとなり、九州脊梁の山間には、春の訪れを告げる福寿草が咲き始め、山里には梅の花の開花の便りが届く。渓流の流れに目を向けると、越冬していたヤマメが目覚め、ゆっくりとエサをあさりに流れの方へ泳ぎ始めることだろう。
昨年は、令和2年豪雨災害の影響で、九州各県で甚大な被害が発生した。その中でも、熊本県球磨(くま)川水系では、大規模な洪水が発生し、ヤマメの魚影も激減した。今も釣り場までの車道が多く寸断している。
解禁直後から渓流魚と出会うためには、水害の少なかった流域や通行止めなどの道路事情、放流実績なども事前に把握し、準備を整えた上で、安全第一で無理のない入渓を心掛けてほしい。釣りも準備8割、惜しまずに準備すれば釣果も付いてくる。
コロナウイルス感染予防のためにも、県外(緊急事態宣言対象地域を含む)への往来は、特に注意。釣り場が県境をまたぐ場合が多いので、寄り道せず自宅と釣り場だけを行き来するなど、感染拡大防止策を取ってほしい。
ヤマメ&アマゴについて
ヤマメ・アマゴは警戒心の大変強い魚で、学習能力も高く、釣りづらい淡水魚とされる。初心者に入門しにくい一因かもしれない。ただ、釣果に簡単に結び付かなくても、森林の香り、透明度ある渓流を見るだけでも五感が研ぎ澄まされリフレッシュできる。特に、コロナ禍のご時世、大自然に身を委ねることが、どれだけ幸せなことか感じ取れることだろう。
あらゆる魚種の中でも、美しい魚体から、淡水魚の「女王」と称される。特に天然物の美しさは記憶に残る魚体だ。また、一度ハリに掛かれば、サケ科らしい瞬発的な鋭い引き込みを繰り返し、太公望の心を捉えて離さない。
約21cm(7寸)前後が釣れごろサイズだが、稀に30cmを超える大型の尺ヤマメに出会うこともある。ただし、尺ヤマメは個体数も少なく釣りにくいことから、太公望の憧れの存在となっている。
ちなみに、ヤマメには、地方名が存在する。球磨川、一ツ瀬川水系では「マダラ」、宮崎県側の耳川、五ヶ瀬川などでは「エノハ」と古くから呼び親しまれている。
入渓の心構え
あらかじめ遊漁券(鑑札)を購入すること。当然タバコ・ゴミのポイ捨ては絶対にしない。残念ながら、明らかに釣り人が捨てたと思われるエサ箱やペットボトルや空き缶を散見する。渓流ベストを着用していればポケットにゴミを仕舞える。
私たち釣り人は、自然界という結界へ踏み入れているよそ者。いにしえの人々が大切に守ってきた地域や流域、そして魚に対して謙虚な気持ちと敬意をもって釣りを楽しんでほしい。