見た目が可愛いフグですが、ある時は体を二倍ほど大きく膨らませることができます。その「ある時」とはいつなのか?体が膨らむ原理と共に解説します。
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フグってどんなサカナ?
フグと言えばサカナの中でも非常に人気者。様々なキャラクターやマスコットにもなるほどかわいい見た目をしています。
水族館でも圧倒的な人気者であり、観賞魚としても人気が高いです。食味の面でも、白くコリコリとした身「テッサ」は、高級料理の代表格と言えるでしょう。
しかしその一方で、非常に強力な毒を持ち、年間に数人の死者を出すような危険な存在でもあります。今回はフグの持ついくつかの特殊能力の中から「膨らむ能力」について詳しくみていきましょう。
フグは膨らむサカナ
フグをイメージして、と言われると、「プクっと膨らむ姿」を想像する人も少なくはないでしょう。人が怒っている様子を「フグみたいに膨らむ」と表現するように、フグが膨らむことは広く一般的な話かもしれません。
しかし、どのような原理でフグが体を膨らませるのか、知っている人は少ないのではないでしょうか。
いつ膨らむのか
フグが大きく膨らむ理由は一つ。それは自分の命が危険に陥っている時です。私たちからすれば、ぷっくりと可愛らしい姿ですが、フグにとって膨らむ時は危険から身を守るための防衛手段なのです。
フグは自分よりも大きなサカナやそのほかの生物から襲われた時に体を膨らませ、自分を大きく見せようと威嚇をします。
みなさんは「ハリセンボン」というサカナをご存じでしょうか。体中が大きなトゲで覆われているフグの仲間です。彼らは普段トゲは立てずにいるのですが、自分の身に危険が迫った時に体中のトゲを立て、襲ってくる生き物に対して「自分は危険だぞ」というアピールをします。
このように膨らんで自分を大きく見せるのは魚類では珍しいかもしれません。しかし、鳥や爬虫類などの体が小さな生き物においては、体や体の一部を大きくく見せて威嚇するというのは決して珍しいことではないのです。
膨らむ原理
フグが大きく膨らむ原理は非常にシンプル。
風船や水風船を想像してみて下さい。地上で風船を膨らませる時、中にどんどん空気を入れ、水風船を膨らませる時はどんどん水を入れますよね。実はこれと全く同じ原理なのです。
フグの内臓の中には【膨張のう】という袋があり、その袋を膨らませることによって体を丸く膨らませています。自分の身に危険がせまったら、水や空気をたくさん飲み込んで体を膨らませるのです。
この時、飲み込む空気や水の量は、自分の体の倍ほどの体積の量を飲みこむと言われています。人間の体では絶対に飲み込めない量ですし、何より瞬時にその量を飲み込めることに驚きです。