船釣りでは釣り方やターゲットによって、効率的な釣りのスタイルが確立しています。今回は、典型的な3つのスタイル別にそれぞれの特徴を紹介します。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWS関西編集部・松村計吾)
3つの船釣りスタイル
船釣りは大きく分けると、イカリで船を固定する釣り方と、船は固定せず船長が操船しながらの流し釣りに分かれます。また、最近では流し釣りも潮に合わせて流す従来からの方法と、風に任せて流すドテラ流しでの釣りも多くなっています。
基本的には釣り方に特化したスタイルを船長が設定して釣らせてくれるので、釣り人側からの要望と言うよりは、船長が選択した釣り方に合わせる形になります。
釣り人としては、出かける船宿でどのスタイルで釣っているのかを知っておく必要があり、多少ですが用意する釣り具やアイテムも変わってきます。そんな船釣りの3つのスタイルについて紹介したいと思います。
まきエサなら「イカリ打ち」
船をポイントに持っていき、イカリを入れて船を固定する釣り方です。この釣り方は主に、まきエサを使って魚を寄せる釣りに多用されます。
たとえば、マダイや青物、イサキなどを狙ったテンビンフカセ(テンビンズボ)釣りや、胴突き仕掛けでの釣りなど、オキアミやアミエビを撒きつつ、魚を寄せて釣る際には定番となります。
イカリ打ちの仕組み
イカリを打って船を固定したら基本的にエンジンを切って釣る場合が多いです。この時、船体に風や潮を受けることで船が流され、イカリから伸びるロープがピンと張った所で安定すると考えてください。
潮と風が同じ方向の場合に船は安定しますが、逆の場合は潮の流れが強ければ潮に乗り、風が強ければ風に押された状態で固定されるので、風が吹いたり止んだりするような状況では、時に船がまったく安定しない状況も出てきます。
イカリ打ちのメリット
イカリを打って船を固定する釣り方の大きなメリットは、まきエサで魚を寄せ、じっくりと釣りを組み立てることができる点です。同じ場所で何投も仕掛けを入れることができるため、自分のペースでイメージしながら試行錯誤ができる面白さがあります。
イカリ打ちのデメリット
イカリ打ちのデメリットとしては、風と潮の向きや強さによって船が安定しない時がある点でしょう。前述のようにまきエサで魚を寄せて釣るので、できれば1カ所にとどまって欲しいのですが、風の方向がかわれば、イカリを中心に船は大きく動きます。結果的にそれまでせっかく魚を寄せていたポイントから大きくズレてしまうことでそれまでの苦労が水の泡になることもあります。
潮に合わせた「流し釣り」
イカリで船を固定せず、船を流しながら釣るのが流し釣りです。後述する「ドテラ流し」やここで紹介する「船長が潮に合わせて操船しながら流す」2つの釣りがポピュラーです。この釣り方はまきエサはせずに、魚の居るポイント上を船が流れるようにして、広範囲に探るスタイルです。
操船しての流し釣り場合、船をきっちりと風上に向けての釣りが安定するため、船の後部に立てるスパンカーと呼ばれる帆張ることが多いので、遠めに見ても分かりやすいです。
船長操船のメリット
船長が操船するのは、潮の速さや方向などに合わせて、常に道糸がほぼ垂直に垂れる状態を作ることで、オマツリなどのトラブルを避け、何よりも釣りやすいのが特徴です。反応を探してから釣りをスタートさせるので、より魚とエサが出会う確率が高くなります。
注意点
注意点としては、釣っている最中は道糸が真下に入ることが多く、潮が全く流れていない、船が移動してない…といった錯覚を起こしてしまうことです。根魚狙いなどでは、潮が速ければ実は仕掛けも速く流れるため、起伏などへの根掛かりの対処が難しくなる点です。