大阪湾には渡船を利用して四季折々の釣りが楽しめる沖堤防が数多く存在する。そんな中から今回は、テトラと基礎石が育む釣魚の楽園ともいえる神戸港西エリアの沖堤防を紹介しよう。
(アイキャッチ画像提供:WEBライター・伴野慶幸)
四季の釣り物
四季の釣り物は3つの波止はおおむね同様だが、メインの和田防を例に挙げてみると、次のようになる。
春はフカセ釣りの好ポイントに
春は乗っ込みのチヌをターゲットにした大阪湾随一のフカセ釣りのメッカとなる。テトラが積まれている外向きでの釣りがメインだが、最近は、内向き20m付近の基礎石の切れ目(カケアガリ)を攻める遠投のフカセ釣りに挑むベテラン師の姿も多く見かけるようになった。ほかには、エビまき釣りでハネ、チヌ、根魚が狙える。
梅雨はカンダイが狙える
梅雨の時期はチヌがイ貝、カニなどを好むようになり、沖向きテトラの際や切れ目を攻める前打ち釣りがフカセ釣りを釣果で上回る。この時期はチヌの外道扱いとされるカンダイの活性が盛んになり、瞬殺のラインブレイクが各所で発生するが、そのカンダイをハリス10号、人によってはワイヤーハリスの仕掛けで、アケミ貝やサルボウ貝をエサに専門で狙う釣り人もいて、知る人ぞ知るターゲットになっている。
また、テトラの穴釣りや、内向きの基礎石の穴を攻めるミャク釣りや遠投ウキ釣りで、ガシラの数釣りも楽しめる。
夏は釣りモノが豊富
梅雨が明けて夏になると、チヌはフカセ釣りと前打ち釣りが半々で行われるほか、30cmまでのグレも釣魚に加わる。波止グレと侮るなかれ、ベテラン師は磯のタックル・釣法に近い本格的な釣り方で挑んでいる。
また、シーバスのほか青物のはしりとしてツバス、ハマチやサゴシをターゲットに、ルアーマンたちの姿もよく見かけるようになる。ミャク釣りのベラも面白い。半夜釣りではシラサエビ、オキアミ、アオイソメなどをエサにした電気ウキ釣りでチヌ、ハネ、ガシラが狙えるほか、一攫千金のアコウに挑む釣り人もいる。
秋は青物が主役に
秋になると、フカセ釣りのチヌは脇役となり、回遊魚が主役の座に躍り出る。ルアーとともに、小アジを活きエサにしたノマセ釣りも盛んに行われるようになり、ブリ、サワラ級の釣果も珍しくない。半夜や早朝にはタチウオも釣れる。エギングではコロッケサイズと呼ばれる小型のアオリイカが狙え、波止には所々で墨跡が見られる。
また、内向き遠投のウキサビキ釣りも最盛期を迎え、釣れる小アジは釣魚としてもノマセ釣りのエサとしても重用される。晩夏のころには中アジと言えるサイズにまで成長し、年によっては30cmに迫る大型のアジが釣れることもあるので楽しみだ。そのほか、遠投のウキ釣りでは根魚のほか、ウマヅラハギも姿を見せる。
冬は根魚がメイン
冬はエビまき釣りやメバリングでのアイナメ、メバル、ガシラの根魚トリオが主役となり、釣り物が少ない時期となるが、近年ではブッ込み釣りのカンダイが知る人ぞ知るターゲットとなっている。
ウキサビキ釣りが要注目
先に紹介した遠投のウキサビキ釣りでは、ここ2年ほど、最盛期の秋以外でも中アジ、時には大サバが釣れることがある。和田防の内向きのほか、各波止の灯台周りも実績のあるポイントだ。ただし、ウキサビキ釣りは、群れの回遊次第。渡船店や釣具・エサ店のホームページで釣果情報をこまめにチェックして、釣況の良い時を逃さず釣行してほしい。
<伴野慶幸/TSURINEWS・WEBライター>