一部河川を除き、ほとんどの河川でアユ釣りが解禁。今回は、トモ釣り最盛期となる、7~8月の攻略法と上達するためのコツを解説しよう。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 渡邉敦)
基本は「泳がせ」と「引き」釣り
トモ釣りにはいろいろな釣り方があるが、大きく分けて泳がせ釣りと引き釣りが基本。泳がせ釣りはオトリ任せで、流れの緩いポイントに適している。引き釣りは流れの速い場所に有効で、オトリの泳ぎを手伝いながら下流から上流にオトリを引き上げる釣り方。
アユ釣りのだいご味はなんといっても引きの強さだ。特に瀬釣りは大の大人が30cmにも満たない魚に引っ張り回される。引き釣りはサオを自分の目線の高さまで寝かせ(ベタザオ)、穂先はやや上流に向ける。イトを張り気味にして、サオの操作で野アユを誘う。
基本の釣り方
目印はサオの下から2節目の所に、一番下の目印を合わせる。水深によって目印を調整する。基本動作は立ち位置より下流に送り、下流から穂先でオトリの泳ぎを手伝う感じで、ゆっくりオトリを真っすぐ引き上げる。目の前まで引き上げたら立ち位置を変え、違うラインを同じように引き上げる。野アユがどこにいるか探すつもりで、何度か繰り返していればアタリがあるはずだ。
イトを緩め過ぎると、流れの速いポイントではオトリが休んで根掛かりしたり、掛けバリが絡んでエビになったりする。引っ張り過ぎるとオトリが浮いてしまい、弱ってしまう。オトリが気持ち良く泳いでいる層をキープする感じで、底流れからオトリが浮かない程度にイトを張る。ノーマルの仕掛けで沈めばいいが、沈まないときは背バリやオモリを使う。
オモリを使いこなそう
オモリのいいところは表層流れが速く押しの強い大河川でも、オモリの重さで底流れまでオトリを沈めることができること。弱ったオトリでもオモリを使えば沈むので、諦めず1匹釣れればそこから巻き返せる。
オモリはさまざまな号数がある。私の場合は、1号をメインに1~2号を使う。オトリが沈まなければオモリを追加。例えば1号を付けてオトリが流れに負けて沈まないときは1号2個にしたり1号と1.5号を2個付けることが多い。
もしオモリが石に挟まって根掛かったら、イトを緩めないでサオを軽くあおってやれば比較的簡単に取れる。イトを緩めてしまうと石の隙間に入ってしまい、掛けバリが引っ掛かって取れないことが多い。
オモリはオトリを底流れまで沈めて、オモリの重さを感じてオトリの動きだしを待つ。オトリが動きだしたらサオを上流に引き上げる。引き切ったらオトリを下げ、もう一度同じように引き上げる。2~3度引き上げて反応がなければ、1歩か2歩前に出たり下がったりして、野アユがどこにいるか探そう。オトリを引き上げる筋を変えるのが釣果につながる。
背バリ使用のメリット
背バリを付けることでオトリが頭下がりになり、よく潜り底流れから浮き上がりにくいし、泳がせ釣りもできるのでイトを緩めても根掛かりしにくい。私はオトリの安定感がいいので、がまかつV2背バリを使う。
背バリを使うと、オトリの鼻からオデコがルアーのリップ代わりになるので、沈みが良くなる。イトを張るとオトリが潜るので、流れが速くてもオトリが浮き上がりにくい。サオ抜けポイントの木が茂った下にオトリを入れ込むにも背バリは役立つ。背バリを横掛けにするとオトリがスライドして泳ぎ、茂った木の下に潜り込ませることができる。
練習が少し必要な高等テクニックだが、穂先が少し曲がるぐらいのもたれる感じで(オトリを底流れから10cmほど持ち上げる)イトを張ると、オトリがルアーのように泳ぎ、石を1つ1つ乗り越えるので野アユを誘い続ける。でも、このテクニックはオトリが弱りやすいのがデメリットだ。私の場合、オモリと背バリの使い分けは、石が小さく底流れが速いポイントではオモリ、石が大きく浮き石のポイントは背バリを使う。
アユのポイント選び
アユ釣りは川見が大事だ。魚影の濃さでその日の釣果が左右される。橋の上や土手の上など高い所から、魚影の濃さやコケの付き具合をチェックする。
「コケ」を探す
大雨増水後のコケが洗い流されたときは、コケが付いている場所を探そう。反対に渇水して全体的にアカ腐れしているときは、きれいな石(黒光や石本来の色)を探そう。石の色が全体的に同じ色に見えるエリアはあまり良くない。川によって釣れる石の色は違う。釣りをしながらその川の釣れる石を見つけたら似たような石の色を重点的に攻めると釣果につながる。
アカの付き具合のヒントとして、石の大きい場所はアカ腐れしやすく、反対に石の小さい(小砂利)場所はアカ腐れしにくい。大石の裏や近くは大雨増水後はアカが残りやすいので、アカが飛んだ増水後は大石がゴロゴロしたエリアを探そう。流れのカーブの外側は流れが通るので、アカ腐れしにくい。また水深の深いポイントはアカ腐れしにくく、浅いポイントはアカ腐れしやすい。
「流れの変化」を探す
川見して釣りポイントが決まったら、どこから釣りを始めるか。特に流れの変化は見逃せない。トロ場は野アユの供給源で、トロ場から急に流れが速くなる場所の瀬肩や瀬の開きはアユがどんどん供給されるため、どの河川でも鉄板だ。特に人の少なくなる夕方は夕食(ば)みで狙いめ。釣りの流れとしては瀬肩から瀬に釣り下るのが理想。瀬肩で数匹釣りオトリが確保できたら、徐々に瀬の流れにオトリを入れて釣果を伸ばそう。