今シーズン「イマイチ釣れないなぁ」というときは原因を的確に判断して、うまく対応しながらトモ釣りを目いっぱい楽しんでほしい。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース特別版 オーナーインストラクター・シマノインストラクター 小沢聡)
状況別「タフ条件」攻略法
トモ釣りは循環の釣りだ。釣れないときにどうオトリをつないでいくかで一日の釣果は大きく変わる。次々掛かるときは難しいことをする必要はないが、釣れないときは「何かを変えること」が大切。
思うように釣れないとき、その原因は大きく分けて次の3パターンがある。
1.低水温で活性が低く縄張りを待たない
2.釣り人に責められてスレている
3.そもそもアユの魚影が少ない
その原因は時期や河川状況によって同じではない。掛からない理由を正しく判断し、正確に対応すればきっと野アユは答えてくれるはず。原因別にどんな対応をすればいいのか考えてみよう。
1.低水温で低活性
これは解禁間もないシーズン初期や、もともと水温が低い河川の朝早い時間帯に起きる状況。人間でいえば冬の寒い時期にコタツに入ってジッとしている状態だ。
こんな時はチャラ瀬などの浅場はまずダメで、野アユにとってのコタツである「石裏などのたるみ」「橋げた」「川のヘチの柳の前」などの掘れ込みが有望。周囲に比べて少し深くなった、腰からヘソほどの水深がある場所に集まる。魚影が濃い場所では何度も同じ場所でアユが跳ねるので、注意していればポイントを見付けることが可能。
野アユが群れて密度が濃くなった場所では、オトリを泳がせていると魚がイトに触れる感触がひん繁にある。こんなポイントでは一カ所で何尾も釣れるから粘って数を稼ごう。
2.釣り人にスレている
解禁から大勢の釣り人が押し寄せて数日が過ぎた河川や、慢性的に釣り人が多い有名な人気河川など「縄張りを持った野アユは片っ端から釣り上げられて残っているのは追い気のない個体ばかり」という状況がこれ。
こんな場所は、誰がみても釣りやすくよさそうに見える狙いめの場所をあたりまえの釣り方で攻めても、まずスカをくらう。たまに掛かっても小型の白いアユばかりだろう。
対策としては「ほかの釣り人が見逃す」あるいは「竿を入れにくい場所を釣る」。いわゆる竿抜け狙いだ。具体的には「立ち位置を考えて川の両サイドのヘチ狙い」「ほかの人が見逃す浅いガチャガチャした流れ」「流れが強く釣りにくい石の横や前を、よりタイトに狙う」など。
待ち釣りが有効。オトリを長くポイントに留めることを意識して、ひとつのポイントを2~3分かけてじっくりと探る。オトリが弱りにくいし、ほかの釣り方では反応しなかった野アユもじれて追ってくることがある。
オモリや背バリも有効。ほかの人が釣りにくい荒瀬や急瀬、流れの当たった石の前や横など、流れが強い場所にオトリを沈めよう。流れの強い場所は竿が入っていないことが多いので、竿抜け狙いの基本になる。
3.アユの魚影が薄い
自分の釣り方や攻め口など釣り人側に問題があるのか、それとも単純にアユがいないのか判断する。場所の良しあしを的確に判断し、見切りを付けて移動するのも腕のうち。自分の釣りに自信がない初心者は、魚影が少ない場所でも「いつか釣れるはず」と粘ってしまいがちだ。
まずは川底の石を見よう。底石が白く、泥を被って汚い色をしていれば期待できない。20分ほど竿を出して、掛かりもしなければバレもない、魚がイトに当たる反応もないとなれば竿をたたんでさっさと場所を変える。
橋などの高い場所は川底の石の色を見るのに適している。水が奇麗な小中河川なら野アユを見付けることができるだろう。橋の上からひと通り見渡たせる範囲で5尾前後が目視できれば竿を出してみる価値がある。
小沢聡さんプロフィール
1965年生まれ。愛知県岡崎市在住。ホームグラウンドは巴川。引き釣り・インライン釣法を武器に第17回、第18回シマノジャパンカップを連覇。第24回、第28回でも全国制覇。同大会4勝は過去最高。
<週刊つりニュース特別版 オーナーインストラクター・シマノインストラクター 小沢聡/TSURINEWS編>