今回は5月から6月にかけて全国で次々と解禁を迎えるアユのトモ釣りを紹介しよう。引き釣りと泳がせのハイブリッド「引き釣り泳がせ」とは?
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース西部版 藤本繁樹)
トモ釣りの仕掛けについて
仕掛けは、天上イト・水中イト・鼻カン周り(鼻カン~逆さバリ)・掛けバリ・水中イトの接続部(つけイト上部・下部)に分類される。各メーカーより天上イトから鼻カン周りまでの「完全仕掛け」が発売されており、掛けバリを付ければ即釣りが可能なので積極的に利用したい。
水中イトは種類が豊富で迷うが、最初は扱いやすくコストパフォーマンスに優れているナイロンラインから始めればよい。泳がせ・引き釣りに使える0.2号をメインに、アユの大きさや水深、流れの強さなどに合わせて太さを替える。ラインは細くすればするほどオトリの泳ぎが軽快になる。
私は、くるぶし~ひざ上程度の水深では0.125~0.2号のナイロンライン、それ以上の水深では複合メタルやメタルラインを使用。また引き釣り中心となるシチュエーションではナイロンライン0.25号+1号のオモリ(流れの強さや水深に合わせて)、またはメタルか複合メタルを選択している。
掛けバリには3本イカリ、4本イカリ、チラシ、ヤナギがある。通常は使いやすいイカリバリを選択するとよい。早掛けタイプはハリ先が傷みやすいのでシワリタイプの3~4本イカリ、サイズは6号・ハリス0.8号ぐらいから始め、釣りに慣れたらサイズや本数を変えてみよう。
近年の解禁初期は20cm級の野アユはほとんどいないので6号で十分だ。イカリバリの本数は4本の方が当然重くなるため掛かりは良いが根掛かり率も高くなるので、狙う場所の流れが強いなら4本、流れが緩い・根掛かりしそうな川相なら3本を選択しよう。
また、ハリの素材の比重によっては強い流れでも抵抗少なくオトリへの負荷が少なく重いのでシッカリと掛かる「細軸で重いタイプ」、浅場で泳がせる時に流れを受け沈みにくいので根掛かり率が下がる「太い軸で軽いタイプ」などの特徴があるので参考に。ハリ交換の目安は「ハリ先が指爪に立たなくなる前に」。
仕掛け一日分の目安量だが、完全仕掛け1組以上、張り替え仕掛け(水中イトより下の仕掛け)1組以上、掛けバリ10組以上を用意すれば十分。また下部つけイトは石にこすれたり、水を吸うことによる傷みが早いので、イト部分をつまみ強く引っ張ってみよう。ダメならそれで簡単に切れてしまう。できれば午後イチには交換したい。
仕掛け長はサオ手尻0~50cmとなるよう天上イトの移動部分で調節する。目印の位置はポイント水深の約1.5倍に。間隔を15cmにするとオトリアユが泳ぐスピードがつかみやすくなる。掛けバリ・ハリスは逆さバリの自動ハリス止めにセット。ハリスの長さは指幅3本が基本形だ。
トモ釣り釣行の装備
履物はアユタイツ+アユタビが機動性に富んでいるのでお勧め。シーズン初期や深場に立ち込まないならスリムウエーダーやドライタイツもよい。ちなみに、主に渓流釣りで使用するウエーダーも使えるが、流れのある場所では中に空気層があるため転倒した際に脚が浮いて危険な状態となるためできるだけ使用を避けよう。
仕掛け・小物類を収納するためのアユベスト、オトリのセットや釣ったアユを受けるためのタモ、釣ったアユを入れておく友舟、友舟やタモを装備するためのアユベルトや移動時にアユを活かして運搬するための友カンまでは必要となる。
オトリアユについて
トモ釣りは活きたアユを使うので用意する必要がある。オトリ屋で購入。通常、オトリには養殖と釣り人が釣った天然がある。通常は予備を含めて2尾購入しよう。
サイズはその川で釣れている平均サイズより小型が扱いやすい。川までは友カンに入れて運搬する。
釣り場選び
アユ釣りは「1に場所、2にオトリ、3・4がなくて5に腕」といわれていて、場所の選択が非常に重要。トモ釣りは「循環の釣り」なのでアユがいるポイントで釣りをしなければ釣りが成立しない。
釣り場選択のポイントは、漁協やオトリ屋などで得た情報をベースに、橋や道路の上から川全体を眺め、(1)川底の石が泥を被っていないか、きれいに見えるか、(2)石にコケが付いているか、(3)アユが見えるかを確認しよう。またシラサギやアオサギの姿があるような場所は魚がいる証拠。
「朝瀬、昼トロ、夕のぼり」とよくいわれるように、朝イチは瀬の周りから始め、水温が上がる昼はトロ場を、夕方にはアユが溜まりやすい場所周辺を釣るのが一日の組み立てとしては確実だ。
また天然遡上アユは縄張りが広範囲で足首程度の浅場や岸寄り(ヘチ)に、放流アユは石裏などの「成長する過程で過ごした水槽に近い流れを好む」など、種類によってアユの着き場が異なることも意識しよう。解禁初期、天然遡上河川・放流河川ともに稚魚放流ポイント周辺が狙いめとなる。
場所が決まったらオトリアユの入った友カンを川に浸けて川の水になじませ、オトリが落ち着いたら友舟に移そう。