サカナの9割は子育てを放棄? 代表的な3つの育児パターンを解説

サカナの9割は子育てを放棄? 代表的な3つの育児パターンを解説

育児をするサカナはほんの一部。9割のサカナが産みっぱなしなのだ。今回は、残りの1割が行う代表的な育児方法について紹介していきたい。

(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)

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Wataru_Nagai

はじめまして。釣りの守備範囲は金魚から大型青物まで!大学では海洋生物を専攻していたので多角的な分析もしたいと思います。

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妊娠型の胎児食性について

妊娠する魚は母親の体内で何を食べるかによって、さらに幾つかに分類する事ができる。

1.卵黄食型

鶏の卵のような卵黄が魚の卵にもある。多くの人が1度は飼育したであろうメダカを想像して貰いたい。卵から孵化したばかりのメダカはお腹が満月のように膨らんでいたと思う。あそこにはエサを自らで捕れるようになるまで、成長できる栄養が詰まっているのだ。

サカナの9割は子育てを放棄? 代表的な3つの育児パターンを解説メダカ稚魚(提供:PhotoAC)

ご存知の通り、メダカは妊娠する魚ではないが、妊娠する魚の卵黄食型の魚は母親の体内でその栄養を消化し成長しつつ、出産の時に備えているのである。メバルの仲間がこのタイプに属し、他にも電気を発することで知られるシビレエイが同類だ。

サカナの9割は子育てを放棄? 代表的な3つの育児パターンを解説シビレエイ(提供:野食ハンマープライス)

2.共食い型

このタイプでは孵化した赤ちゃんは母親が作る無精卵を食べて成長するというものだ。また、中には無精卵だけでなく、胎仔同士で共食いをして成長をするという驚愕の生態を持つものもいる。胎生種が多いサメの中でもこのタイプは珍しいタイプとされている。

珍しいタイプながら某パニック映画の人食いザメとして知られるホホジロザメがこのタイプであり、その他にはシロワニなどネズミザメの仲間がこのタイプだ。

3.ミルク型

哺乳類のように子供を育てる子宮の内側の壁から、栄養の入った分泌物(ミルク)が母体から分泌される。そしてその分泌物(ミルク)を胎仔が摂取するというものだ。特徴としてやや短期間で成長できるということが知られている。

そんな不思議な仕組みを持つ生き物なんて身近にいないのではないかと思うが、ウミタナゴやアカエイといった比較的なじみのある生き物にもこのような仕組みがあることが判明している。

4.胎盤型

これは、卵黄の入っている袋の一部が母体の子宮と繋がり、胎盤を形成するというものだ。また胎仔1尾1尾が仕切りによって隔てられている。また先ほどのミルク型と似たような流れで栄養が母体から供給され胎仔は成長をしている。

このタイプは哺乳類のような完全な胎生のグループとも近い胎生とされるばかりか、全く遜色がないとされる物もいる。これらには独特な形の頭部を持つことで知られるシュモクザメや、高級食材として有名なフカヒレに利用されるヨシキリザメがあてはまっている。

まだまだ未知の生態も

誰もが名前くらいは聞いたことのある魚や食卓に並ぶ魚。そんなメジャーな魚も、調べてみるとあっと驚くような方法で子孫を増やしているかもしれない。

魚は我々脊椎動物の半分以上を占める巨大なグループだ。しかも、人類は世界の海の10~20%しか把握していないと言われている。もしかしたら我々の想像もつかない繁殖、育児をする魚もいるかもしれない。

<永井航/TSURINEWS・WEBライター>