4月21日、関西では久々となる「2019東レ懇親チヌ釣り大会in小豆島」が開催され、フカセのチヌフリークが集まった。大会は47cmを頭に大型を揃え、唯一7kg台をたたき出した西林さんがダントツの優勝を飾った。また、当日はフカセ釣りの名手・鰰澤さんに同行して小豆島でのチヌ釣りの模様を取材した。
参加人数50名!
約50人が参加今季、チヌが絶好調の小豆島の各磯へ参加者約50人が2人ずつのペアで渡礁、釣ったチヌ5尾までの総重量勝負で競った。
「初夏や秋のグレ狙いでもチヌが邪魔をするくらい、近年の小豆島はチヌの魚影が濃く1年を通じて釣れ盛っている」との事前情報に、早朝から集まった参加者の意気込みはすごい。受け付け後のクジで船内での磯上がりの順番を決めると2隻の渡船に乗り込み、約1時間をかけて本部となる姫路港から小豆島へ。
小豆島周辺に着くころにはすっかり夜も明けて、少し肌寒いが快晴の下、順番に2人1組のペアとなって磯へ上がっていく。
この日の規定は、制限寸法なしでチヌ5尾までの総重量。磯には基本、2人1組で上がり、釣り時間を前半、後半に分けて釣り座を交代する。使用するサオは1本で1本バリのウキフカセだ。まきエサは自由で、さしエサも生きエサ以外はOK。
大泊周辺の波止へ
当日は様々なチヌ、グレの大会で上位入賞も数多いフカセ釣りの名手・鰰澤(いなざわ)さんと黒田さんとともに、小豆島南東部に位置する大泊地区の小さな波止に上がった。
家島諸島や小豆島のチヌフカセ釣りは、磯もあれば、波止から釣ることもある。波止とはいえ、陸からは渡れない場所も多く、磯と遜色のない釣果が出るのが特徴だ。
右手沖には風の子島(ふのこじま)が見える。今回の釣りエリアとなった小豆島東海岸の中では、もっとも南に位置する場所だ。
上がってみると表向きはテトラで水際から5、6m先まではガラ藻が立っている。やはりここは遠投でチヌを沖で浮かせるのが賢明だろうとの判断で、2人とも自重のあるウキを使っての遠投でスタート。
まずは波止の先端に黒田さん、中央寄りに鰰澤さんが入った。
ちなみにさしエサはネリエの食い渋りイエローと加工オキアミのくわせオキアミスペシャルチヌ、食い込みイエローを用意したが、フグのエサ取りが多く、ほとんどをネリエで通していた。
潮は波止先端をかすめて左沖へ斜めにやや速く流れている。風とは真逆なので潮が強ければ仕掛けを張りやすい状況。まきエサを十分に入れたら釣りスタート。
いきなり35cm級チヌ
右側に入った黒田選手がいきなりサオを曲げた。少しガラ藻に絡んだが、何とか出てきて35cm級のチヌを幸先よく取り込んだ。
「絶好調?こっちはアタリがないよ~。」と言っていた鰰澤さんだが、「潮が速いので、0号のウキにG5のオモリを打ち、仕掛けがなじめばウキがジワリと沈んでいく感じにした。」とすぐに仕掛けを調整。
直後に当日の1尾目がヒット。こちらも35cm級だがまずは1尾。
まきエサをやや潮上に遠投で入れるとその少し沖へ仕掛けを投入。ウキの投入点よりも、少し手前の流れが速く、ミチイトが流されるので、仕掛けがなじむまではラインメンディングをしっかりとしてやる。ウキがシモり出せば、今度はミチイトの張りで仕掛けの入り方を調整する。すると、ミチイトにククッと変化が出た。
藻場でのセオリーが通りにいかない
サオを立てると重量感が伝わり、頭を振るようなチヌ独特の感触がサオ先に出る。足元のガラ藻を避けるために、沖でやり取りをしてチヌをある程度浮かせてから寄せる作戦だ。ところが、ここでイメージと違った展開になってしまう。ガラ藻は足元の波止周りだけではなく、沖の深い場所にも生えているようで、掛けた沖でガラ藻に絡んでしまったのか、引きはあるものの寄ってこない。
「ガラ藻のある場所での釣りは、チヌを沖で掛けて寄せる前にやり取りして沖で浮かせる…というセオリーがあるんですけど、沖で掛けたチヌが沖底のガラ藻に絡んでしまうので、これは難しい。」と鰰澤さん。
ガラ藻から何とかチヌを抜き出そうと、ラインを緩めてチヌが走ったら引いてみたり…。何とかチヌがガラ藻を抜けたと思ったら、その手前のガラ藻へ掛かる。
2尾目を取り込んだ時点で「こんなに疲れるのかあ~」と苦笑いの鰰澤さん。それでも仕掛けを投入するとすぐにアタリが出る。
チヌは入れ食いで、鰰澤さんは7連発素バリなし。しかし、効率が悪い。黒田さんも同様の様子だ。
不思議なのは、最初こそ乗っ込みの気配がないうなスマートな魚体のチヌだったのが、まきエサが効くにつれ、乗っ込みで腹が膨れた40cm級のチヌが釣れ出したこと。
ポイントの状況は時間が経つにつれてよくなってきている。後はこのガラ藻を避けてどう釣るか…。また、昼前には潮止まりを迎えるので、潮が動いている間に釣らないと時合いを逃す。
一か八かの強引釣法だ
そこで、鰰澤さんが実行してみたのが、強度に実績のあるトヨフロンハイパーガイアXXを使用して、かなり強引に寄せる釣り。サオを極限まで曲げ込んで、チヌを一気に寄せる。
「通常はこんな釣りはしないですけどね」と言う鰰澤さんだが、予想としては沖のガラ藻は太くて硬いので、ハリスが絡んでしまうと、ガラ藻を切ることもできず、それなら溜めるよりも一気に引き寄せて、一か八かの勝負出た方が手っ取り早いのでは? との考えだそうだ。
そして、これが見事に的中。食い自体は朝ほどの連発ではないものの、掛ければサオを曲げ込んで一気に浮かせる強引釣法で、次々にチヌを取り込む。ライブバッカン内のチヌの入れかえもかなりできた。
納竿の午後1時前には潮が完全に止まってしまい、アタリもなくなったので釣りタイム終了とした。鰰澤さんは2ケタ突破!