伊勢湾伝統釣法のウタセマダイが大半だが、エビが生かせない真夏と捕れない真冬はシーズンオフになっていた。ところが、タイラバで真冬に好釣果を出している船を紹介してもらった。それが三重県鳥羽市小浜から出船の丸安丸。船外機の機動性を生かして島しょ部の水道やシャローを攻めまくる。冬でも深場に落ちず、水温の低い浅場で果敢にエサを取るマダイ。うまいに決まってるやん!!
鳥羽のマダイは美味
渦潮で名をはせる鳴門、最大7ノットとも言われる激流の明石、今も一本釣りで生計を立てる漁師が数多くいる。
和歌山の紀淡海峡に面した加太などマダイの好魚場は全国に多く、例外なく潮が速い。速い潮が身質を締め、良質なエサを豊富に湧かすからだろう。
私は幸運にも、いずれの地域のマダイも釣って食べた経験があるが、身は純白ではなく、どちらかといえば、あめ色に近い。
最近はつい近場の日本海や伊勢湾に足が向くが、今更ながら思うのは伊勢湾。特に鳥羽近辺のマダイはうまい。
個人的には、明石ダイなどブランド品に全く引けを取らないと思うほどだ。湾奥に木曽三川、狭まる湾口部に密集する島峡部では、潮が速く複雑にするのだから、うまくて当然。
「そんなコトを知らないのオマエだけだ!」とお叱りを受けそうだが、己の不勉強を取り戻すべく、ここのところ鳥羽のマダイ釣りに足しげく通うようになった。
ナギ予報日に出船
ナギとのいい予報が出た3月27日に出かけた。
集合場所に到着すると、丸安丸での釣行経験豊富な出口さん、船長も初乗船の釣り人を先導してやって来た。
全員が乗船したところで船はポイントに向かう。
チョクリ(鯛サビキ)釣りで
私以外は全員がタイラバをセットし、私は船長の許可を得てチョクリ(鯛サビキ)を準備する。
潮の速い地域のマダイ釣りの特徴として時合いが短く、その時間に固め釣りしなければならない。
チョクリは1張りで10mを超えるので、仕掛けさばきに慣れを要するが、時合いに2つ、3つと付くことも珍しくない。
先月に乗船した時はタイラバを圧倒する釣果を出すことができたのだが、食い方が少し気に入らなかった。チョクリに掛かったカタクチイワシに、マダイが次々と食ってきたのだ。アタリもド派手で、イワシ食いのマダイなので食味も申し分ないのだが、これは厳密にはタテ釣りだ。
船中マダイ一尾目はタイラバで
ハリだけでマダイを釣ってやろうと、開始からスロー巻きやフォールとポーズを織り交ぜたりと誘っていくが、メバルやホウボウがちょっかいを出してくる以外、本命からの反応はない。
タイラバでもアタリはないようで、「おやおや、ちょっとヤバいんじゃないの!?」的な雰囲気を察してか、船長が次々とポイントを回っていく。
次こそは、次こそはと投入ごとに祈りを込めてリールを巻いていくが、「よっしゃ」と低く言い放ったのは隣の同船者。
40cmオーバーの美しい本命で、海に全く活性のないこの時間帯に掛けるとはさすがだ。
船中も一気にヒートアップし、「次は俺の番だ」とリールを巻く手にも力が入る。
続いて出口さんと他の同船者が60cmオーバーのマゴチをゲット。
「まずい、ボウズは私とタイラバ初挑戦の人だけだ。」
最後の流しで待望の本命!
残り時間も30分を切ったところで、船長はまたもポイント移動。
これが最後の流しになるだろう。
底を取ってリールを巻き始めた鯛サビキに何か違和感が。食わせ切れずタナを過ぎたので、再び底からリールを巻くとコンコン、コンコン。
我慢してリールを巻き続けると、ガンガンとようやくハリまで触ってきた。
食い方からマダイ決定!
慎重に上げると40cmを切る小型だったが、私にとっては値千金の価値ある1匹。
完全に気の抜けた私は、あろうことか次の投入で食ってきた良型を連続でバラしてしまう。ポンコツの本領発揮といったところか。