梅雨入り前に駆け込み釣行する釣り人達が急増した6月7日、当初目論んでいた竿下サビキ釣りとノマセ釣りはアテが外れたものの、泉佐野一文字での落とし込み釣りが結果オーライで、カンダイ42cmと32cmの2匹の釣果に恵まれた。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・伴野慶幸)
泉佐野一文字へ釣行
2025年の春先から初夏にかけての大阪湾の釣況は、短い期間には爆釣時期があったものの、全体的には去年の同時期に比べて釣況が良くない印象を受ける。釣行しても釣果に恵まれなかった釣り人たちが多く、さらに釣り人の多い土日祝に天候不良が重なった時もあり、消化不良気味の釣り人は多いのではないだろうか。
そうした中、TVの天気予報で6月中旬から近畿圏の梅雨入りが予想されると報じられたことで、梅雨入り前に駆け込み釣行する釣り人達が急増する動きを私(筆者)は察知し、予約制ではない泉佐野一文字への釣行を決めた。
泉佐野一文字
足場が良く予約なしで渡れる泉佐野一文字は人気の的で、特に土日祝は大激戦区。
今回も深夜2時に泉佐野一文字に渡す葵渡船の駐車場に到着したものの、駐車場入りは一番乗りながら、地元常連を中心とした何十人もの先客が一人一個の荷物を乗船場の並び列に整然と置いて、先着権を主張する暗黙の「荷物置きルール」が発動しており、私の乗船順位は13番目と判明。
目当ての波止の北端の赤灯台付近に釣り座を構えられるか微妙な状況となっていた。泉佐野一文字に釣行する釣り人は、この荷物置きルールを知らないと後から大変なことになるので、駐車場に着いたら真っ先に手荷物を1個置いて、乗船順位を確保しておくのが得策だ。
深夜2時「荷物置きルール」の発動(提供:TSURINEWSライター・伴野慶幸)なお、泉佐野一文字の形状と船着場などは略図のとおりだが、詳しい解説は、以前の投稿「大阪湾の沖波止紹介:岸和田&泉佐野一文字 都市近郊でアクセス良好」をご覧いただきたい。
また、乗船手続きやライフジャケット規格に関する主な注意事項などは、葵渡船のホームページの「お知らせ」に掲載されているので事前に確認しておいてほしい。
泉佐野一文字拡大図(提供:TSURINEWSライター・伴野慶幸)セル石と宇部波止が釣り禁止に
駐車場入りの前の夜中に、車中でわずかな仮眠をとった後、出船前の30分前に乗船場に釣り具一式を持ち込んでスタンバイ。既に30人近くの釣り人が並んでいた。そこで近くにいた釣り人の話から、また残念な情報を耳にしてしまった。
「セル石と宇部、釣り禁止になりましたよ。」
「何でや!?」
「港湾と違って環境のほうからの禁止みたいです。」
大阪湾を代表する渡船釣り場の南港:セル石と宇部波止が釣り禁止になっていたということだ。
自宅に帰って詳しく調べる
自宅に帰ってから調べてみると、渡船店の夢フィッシングの3月29日SNSに「7ー3区(通称 宇部波止・セル石) 環境農林水産部循環型社会推進室より波止場上陸禁止の通達がありました。(7ー3区の管轄)」と告知されていいて、さらに調べてみると、大阪府のホームページ「府民の声と府の考え方 公表(詳細)」に5月2日付で経緯と詳細が公表されていた。興味のある方は検索してご覧いただきたい。
私の釣行フィールドではないが、チヌ(クロダイ)釣りと波止タコ釣りのメッカとして人気の両釣り場が釣り禁止になったことで、落胆した釣り人達には同情を禁じえない。
TSURINEWSの読者の皆様も、今釣りを楽しめている釣り場は、いつ失われるか分らないという危機感を心の片隅に持ちつつ、釣り場の環境保全とともに、「釣りをさせてもらっている」という気持ちになって、一回一回の釣行を大切にしていただきたいと強く願う。
ノマセと落とし込みの二刀流
話を泉佐野一文字の釣行に戻すが、当日は2つの作戦で臨んだ。本命の作戦は朝マヅメの竿下サビキ釣りで小アジを確保して、それを活きエサとした青物狙いのノマセ釣り。
しかし、最近の朝マヅメで小アジが釣れない場合も想定して、岩カニのエサでチヌやカンダイ狙いの落とし込み釣りにも転じる作戦も講じていた。
始発便は定員より若干少な目の釣り人たちを乗せて、定刻の4:30に出船。この日は最近好調なフカセ釣りでのチヌ、波止グレ(メジナ)狙いの釣り人達が波止の南側白灯台付近に渡った。
波止の南側はフカセ釣りの好ポイント(提供:TSURINEWSライター・伴野慶幸)一方で、混雑回避を優先したルアーマン達が最初から3番、4番の船着き場に渡ったことから、一番人気の1番の船着き場に釣り人が集中することがなく、私の目当てだった波止の北端の赤灯台付近に釣り座の一角に釣り座を構えることができた。
赤灯台付近に到着(提供:TSURINEWSライター・伴野慶幸)サビキがまさかの不発
釣り座を構えてすぐに始めた竿下サビキ釣りは、大誤算の不発。私はゼロで、近くの釣り人がただ1人、小アジをたった3匹釣っただけというのでは全く話にならない。しばらく粘ったが竿先は全く動かないまま。
気分転換に、泉佐野漁港から朝5:30に一斉に近海漁に向かう漁船の壮観な出航風景を見てから、目線を再び波止際に向けると、内向き(陸向き)で大型チヌがゆらりと泳ぐ姿を発見。この「見えチヌ」発見に刺激され、チヌの活性が高いうちにと落とし込み釣りをメインにすることに決めた。
落とし込み釣りへ転戦
落とし込み釣りのタックルは、落とし込み専用竿3.9mとリールに、ストライプカラーの落とし込み・ヘチ専用の2号ライン。ラインの先には市販の目印仕掛けとハリスは1.7号を直結する。ハリスは硬めのものがよい。
落とし込み釣りのタックル(提供:TSURINEWSライター・伴野慶幸)
針はチヌ針3号で、チモトにはガン玉2Bをかませる。エサの岩カニは活きの良さを保つため、海水バケツに入れて、使う分だけ小分けするのが私のスタイル。岩カニは足の付け根から甲羅の外側にほんの少しだけ針先を出す横掛けで、足の動きを良くさせて海面の下の獲物にアピールする。
エサの岩カニ(提供:TSURINEWSライター・伴野慶幸)当日は波止際に海藻が茂っていて、波止際ギリギリを攻めることができないため、海藻の極や海底を攻めるよう落とし方に工夫をこらした。
波止際の海藻を避けて落とし込む(提供:TSURINEWSライター・伴野慶幸)青物も激渋
小アジもダメなら青物も激渋の状況で、北端の赤灯台から外向き(沖向き)にはルアーマン達が居並び懸命にキャスティングを繰り返すが、ノーバイトが続く。
そうした中、朝7時前に1人のルアーマンがロッドをブチ曲げた。周りのルアーマン達の視線を浴びながら、獲物を波止際まで寄せてきた。
青物を手前前まで寄せてきたルアーマン(提供:TSURINEWSライター・伴野慶幸)仲間の懸命のアシストでネットイン間際までこぎつけたが、最後の最後で海面がバシャつく音とともにロッドの先が跳ね上がってしまった。
痛恨のバラシに終わり、アシストの仲間が動揺を隠せない表情を見せたが、フッキングさせたルアーマンが背中をポンと叩いて仲間をねぎらった様を見て何とも物悲い思いにかられた。


